ウメエダシャクの幼虫
2018 05 11 (art18-007)
クサボケ(草木瓜)にチャドクガの幼虫がいると、家内が騒いでいました。庭に降りてみると、枝の先端近くに、頭を上にして体をまっすぐに伸ばした恰好で張り付いています。体表色は黄・黒・白のまだら模様の繰り返し。チャドクガの幼虫によく似ている、が、毒毛虫特有の針毛がみあたらない。毛のない”イモムシ”。テデトール(手で取る)の出番ですが、数が数だけに、ここは、薬剤に頼ることにする。キンチョールを持ち出して噴霧したところ、くねくねと体をひねる。あげくには、枝から離れて、空中に糸でぶら下がる。この糸は口元にある吐糸管から出ているのでしょう。ついには、地面に落下し、そこでも、くねくねと動く。バケツに拾いあつめて、一晩放置して様子をみることにしました。翌日、動きがなく、死んでいました。その数、32匹。キンチョールは、合成ピレスロイド系の殺虫剤です。以前は、除虫菊から抽出したピレトリンでしたが、現在のものは、合成品だそうです。ピレスロイドは昆虫類の神経細胞の受容体に作用し、正常な情報伝達を攪乱することで、殺虫効果を発揮する、と、とある教科書は記述しています。
毛のない”いもむし”の正体。どうやら、ウメエダシャクガの幼虫のようです。シャクトリムシらしく、枝に見せかけようと、枝と並行にまっすぐ体を伸ばして動かない姿、妙に納得できました。
芸人はともかく、ある物の形状に自分を似せることはあまり聞いたことがありません。しかし、誰かの姿形をまねることはよくあります。姿形を似せることによって、そう見られたいと心のどこかで思っているのでしょう。あるいは、そうなりたいと思っているのでしょう。凡夫も、一頃、そうでした。