東郷池のシジミ (貝)
2018 06 08 (art18-0017)
朝の7時、船外機付きの小型船がいっせいにエンジン音を響かせて漁場へ向かいます。ここは、上浅津の船着き場。漁場に着くと、船人は、鋤簾 (じょれん) と呼ばれる金属製の貝とり道具を使ってシジミをとります。鋤簾は、熊手に網目の籠がついたものです。底面のシジミを土砂ごと掘り起こし籠に入れます。水中で、土砂を振り落とし、貝だけを籠に残します。船上から操作できるように鋤連には長い柄棒がついています。 小船に乗って、立ち姿勢で長い棒を水面下におろすさまは、遠目には、お椀の一寸法師です。
凡夫が子供の頃、夏になると東郷池に入って遊んでいました。また、シジミも採りました。貝とりは、子供にとってよい小遣い稼ぎになりました。手の届く浅瀬では、水中にしゃがみ、片手で底面の土砂を探っては貝をつかみ、水面に浮かせたバケツに入れていました。手の届かない深瀬では、立ったまま、足の裏で底面を探り、貝を見つけては足の指で挟み、引き上げていました。一つ一つ採っていたのですが、すぐに、バケツがいっぱいになりました。
当時は、誰でもシジミをとっていたのですが、今は、できません。漁業協同組合員だけができます。東郷池のシジミは、大粒で、ここの特産品として販売されています。
今では、 かつてのように東郷池に入って遊ぶ子供はいません。理由はいくつかあるのでしょうが、その一つは水の汚染と思われます。COD値(75%)は5mg/Lを上回っています。汚染水に強いフナやコイはどうにかすめますが、かなり汚染されていると言えます。また、東郷池には除草剤等の農薬が流れ込みます。流れ込んだ農薬はなかなか分解・消失しないようです。何度か、残留農薬の問題が起きています。