イラガ
2018 07 06 (art18-0027)
畑の奥に2本の柿の木があります。10年前姉が植えたものです。甘柿と渋柿の2本です。その柿の葉にイラガの幼虫がたむろしていました。まだ若い幼虫です。大きめの幼虫は、横に並んで葉を食べています。小さめの幼虫は、もっぱら葉の裏側から葉肉を食べ、表皮を残します。食後の葉は、白く透けています。子供の頃、柿の実を取ろうとしてよく刺されました。激しい痛みを伴って腫れ上がります。水ぶくれになることもありました。祖母は、庭先のキダチアロエの葉をもぎ取って、葉汁を塗ってくれました。痛みとかゆみが軽減しました。イラガの幼虫は、棘先から毒液を分泌します。毒液の成分は、ヒスタミンと蛋白質性発痛物質と言われています。アロエには抗ヒスタミン作用があることを、ずいぶん後で知りました。
柿には、特別な体験があります。羽合小学校の6年生の秋、右下腹部の痛みのため、倉吉市宮川町の清水病院で診察を受けました。しばらく様子をみることになり、ベッドに横になりました。一向によくならず、体温も徐々に上がり、盲腸炎(今は、虫垂炎)との診断が下されました。開腹手術を受け、虫垂が摘出されました。
以下は術後、聞いた話です。摘出した虫垂に炎症はなかった。腸の一部が詰まり、腸閉塞を起こしていた。これを聞いて、父はひどく怒り、院長をつよく叱責した。腸詰まりの原因は、半渋状態の柿の喰い過ぎで、柿タンニンによって形成された胃石が小腸に引っ掛かったということでした。
父が院長を叱責したことは、理解しがたいことです。50年前にそれができるものだろうかと。先日、下浅津在住の90歳の ”やすら” 叔父さんを訪ねた時に、この疑点が解けました。清水病院の院長は、上浅津出身であったのです。知り合いだから、文句の一つも言えたのでしょう。
余談ですが、院長の親は、東郷池のウナギを捕って大儲けをして、息子を医大に入れたと、叔父は面白可笑しく語っていました。その息子と叔父さんは、倉吉中学校(倉吉東高校の前身)の同級生だったそうです。
イラガ退治の顛末。キンチョールを持ち出して噴霧しました。しばらくすると、イラガは、ぽたぽたと葉から落ちました。拾い集めてバケツに入れ、翌日みると、死んでいました。