筆立て
2019 02 04 (art19-0103)
大型家具の作成に取り組むためスライド丸鋸を購入しました。スライド丸鋸は、直角面を出して木材を切断したいときに、威力を発揮します。それだけでなく、任意の角度をつけて木材を切断できます。いちど丸鋸の傾斜角を設定すれば、何枚でも、同じ角度の切断面をもつ木材片を作ることができます。同形の小片を下準備し、互いに接合することで形成される木工品を作製するときに、たいへん重宝する電動工具です
作り方は簡単です。
(1)9.0cm幅、厚さ1.0cmの板材を用意する。
[サイズは任意です。今回は、その辺にあった余り板材を使いました]
(2)スライド丸鋸で、一定の角度をつけて切断する。
(3)切断小片同士を木工ボンドで張り合わせる。
(4)底の形状にあわせ板材を整形し、はめ込む。
正多角形でも、辺の数の増減で、受ける印象が異なるように思われましたので、いくつか作ってみました。なお、ちょっと手を加えて、木目が途切れないようにしました。
4角形、5角形、6角形、7角形、8角形。
偶数の正多角形、4、6、8角のものは、予想通り安心感があります。一方、奇数の5、7角のものは、ちょっと奇異に感ずるかなと予想していましたが、そうでもなく、かなり安心感があります。おそらく、正多角形の特徴である、辺長と内角が同じであることが、そう感じさせているのでしょう。
しかし、家内は、「7角形をじーと見ていると変な感じになる」と言っています。見慣れないため、頭が6角形か8角形と認識しようとして混乱しているのでしょうか。5角形の方には、その感じはないそうです。
確かに、5角形は星のマークとして見慣れていますが、7角形を目にする機会はめったにありません。
日頃、目にする形は4角形です。建造物の多くは4角形の組み合わせです。
一部、6、8角形の建造部もあります。寺院建築の円堂がそうです。円堂とは、6角形、8角形あるいはそれ以上の多角形の構造の堂をさします。京都の頂法寺や東京の浅草寺には六角堂があります。また、奈良の法隆寺夢殿や興福寺北円堂/南円堂は8角形です。一方、輪蔵をもつ寺院はたくさんあります。輪蔵は経蔵の一種で、6角形か8角形の書架に経典を収納し、全体を中心軸に沿って回転させることで、経典を読誦したものとするものです。鎌倉の長谷寺、京都の知恩院・清凉寺・西本願寺、大津の三井寺などの輪蔵がよく知られています。
寺院以外では、武道館が8角で、横浜市中央図書館は6角です。ついでに、九大の旧箱崎キャンパスの中央図書館のそばに六角堂と呼ばれていた建物がありました。内部の椅子や机も六角形で、さらに ”ほぞ継ぎ” も。
一方、自然界には、6角形が多くあります。特に、蜂の巣や昆虫の複眼のように、隙間なく並べた構造の場合、正6角形でできたハニカム構造(honeycomb structure)は、材料を最小にしたときに構造的に最強の形として知られています。
鶏小屋の金属製の網目の多くは6角形です。フラッシュ合板の中には、ハニカム構造の厚紙を内部に挟んだものがあります。これは、強度と軽量の両立ができ、テレビ台の天板などに用いられています。
6角形のハニカム構造が強いのは、一方向からの衝撃を5方向に分散し、それぞれの面が受ける衝撃力を軽減しているからだと言われています。これは体感できます。筆立てを作成する工程に、(3) 切断小片を木工ボンドで張り合わせる、があります。ここでは、切断面同志を密着させるため、両手で包み込み、力をいれて絞ります。この時、6角形のものが、一番、力を掛け易いと感じました。力を掛けても、形がくずれませんでした。ちなみに、一番くずれやすかったのは、7角形のものでした。