コナカイガラムシの卵嚢
2019 05 13 (art19-0133)
柿の葉の裏に、細長い白い綿状のものが付いていました。コナカイガラムシの卵嚢です。この中には成虫と沢山の卵が入っています。卵は深黄色の楕円形です。6月になると孵化して幼虫になります。幼虫は成長を続け、7月になると成虫となり、産卵します。冬になるまで、繁殖を数度繰り返し、幼虫で冬を迎えます。越冬した幼虫は、翌年成虫となり、5月には交尾して卵嚢に卵を産み付けます。カイガラムシは、ロウ状の物質で体表面が覆われています。小さな貝殻(介殻)様です。この「カイガラ」は外敵から身を守り、乾燥を防いでいます。農薬が効きにくいのは、この「カイガラ」が農薬の浸透を妨げる為です。
カイガラムシは、柿の枝などで、数ミリの白い楕円形の塊としてよく目に入る虫です。これは、雌の幼虫や成虫です。ほとんど動くことなく汁液を摂取しています。雄の幼虫は、孵化後、動き回り、定着して蛹様に変態します。そして、羽化して脚と翅をもった成虫となります。飛ぶことができます。成虫の雄は口吻をもたず、食べることも水を飲むこともできません。ひたすら交尾に精を出し、交尾をすませると死にます。成虫の雄の寿命は、数時間から長くて数日です。雌の成虫の寿命は1ヶ月から半年のようです。
成虫の雌と雄は効率的に交尾相手を見つける必要があります。基本的に成虫の雌は動きませんから、雌は、雄に見つけてもらう必要があります。その為、交尾できる状態になった雌は、性フェロモン物質を放出し、飛翔できる雄を誘引します。
柿の木(種無し西条)から、50個ほどのコナカイガラムシの卵嚢を、葉に付いたまま回収しました。ライターの炎で焼殺しました。炎を近づけると、一瞬で焼け焦げます。