エアコンの故障
2019 08 12(art19-0161)
連日の猛暑。エアコンの調子がおかしくなりました。スイッチを入れると、室内機の送風ファンが回転し風が出てきます。しかし、いつまでたっても冷たい風になりません。その内、異常を知らせる警告ランプが点滅しました。窓を開けて室外機を覗くと、ファンは回転していません。リセットするため、コンセントを抜きました。コンセントを挿して、もう一度スイッチを入れてみましたが、同じ症状です。このエアコンは、1999年型(東芝のRAS-255YAR)ですから、20年程使っていたことになります。ガタが来るのも無理からぬことです。エアコンは凡夫が使用している部屋のものです。異変に気づいたのは、朝。その後、強い日差しが東向きの窓にあたり、室温がぐんぐん上昇し、お昼前には33℃を超えました。なんとかせねばと思い、ファンが回らない室外機を点検することにしました。室外機の置かれている窓の周辺が日陰になるのを待ちました。
電気回路や配線図を ”ある程度” 読解できます。
在籍していた米子高専の電気科を無事卒業していれば、"ある程度" どころか、電気理論からその種の図面を易々と読解できるでしょうが、凡夫は中途退学者です。ここで言う "ある程度" の読解力は、むしろ、中学生の一時期に熱を上げていたラジオやアンプ等の作製からきています。当時、トランジスタが出まわっていましたが、凡夫は、もっぱら真空管を用いて自作していました。よその家から手に入れた古いラジオや蓄音機を分解したり、なけなしのお金をはたいて倉吉の模型屋で買ってきたりして、部品をせっせと集めては、あれこれ、組み立てて楽しんでいました。プリント基板自体の作製には手が届かず、もっぱら半田ごてを使って、端子と端子を接続していました。
先日、家内が2階の物置部屋から段ボール箱を持ち出して、廃棄してよいかと聞いてきました。箱の中身は、真空管、抵抗、コンデンサ、変圧器など、かつて集めた部品です。すっかり忘れていたのですが、眺めているうちに当時の記憶がよみがえってきました。なつかしい物達です。捨てないでそのままにしておくようにと家内には答えておきました。
エアコンの冷房の原理は単純です。室外機と室内機を連結したパイプの中を冷媒(フロン系ガス)が循環します。循環中、冷媒は室外機で気体から液体へ、室内機で液体から気体へ状態を変えます。
状態が液体から気体へ変化する(気化)とき、熱が奪われ交換器は冷却されます。ファンで空気を送ると、交換器で冷やされた冷風が出てきます。これが、室内機がやっていることです。
一方、室外機でやっていることは、室内機で生じた気体を液体に変えるために、圧縮機で気体に圧力をかけます。そうすると、圧縮熱で温度が上昇しますが、この時、ファンを回して交換器を冷やすと、気体が液体に変化します。室外機を担う主要部品は、圧縮機(コンプレッサー)と冷却用ファンです。
室外機のファンが回らないと気体から液体への変換が起こりませんので、室内機へ液体を送ることができません。その為、室内機は交換機を冷却することができず、冷たい風を放出できません。まず点検すべきは、ファンの回らない室外機です。
室外機の外装をとりはずし、制御基板をむき出しにしました。この種の電気機器は、電気回路図に故障時にチャックすべき箇所が明記されています。電気回路図が取扱い説明書に記載されていると、説明書自体を探しだすことが厄介ですが、幸いなことに、室外機の制御基板の保護カバーに、配線図がプリントされていました。配線図の横には、チェックリスト(1-4)が付いていました。
まず、ファンのモーター回路の断線の有無を調べました、問題なさそうです。次に、室外機自体に電気が来ているかどうかを調べました。これは、チェックリストの最初の項目に該当します。テスターを持ち出して、接続線の入力端子の電圧を調べました。ファンを回転させる電圧(100V)と制御電圧(十数V)が来ています。しかし、室外機側の基板端子には、その電圧が検出されません。はて? 接続線の端子と室外機側の端子を連結するコネクタで接触不良が起きてるようです。そこで、一旦コネクタの接続ピンを取り外し、再度ピンを挿入したところ、室外機側にも100Vの電圧が検出されました。 ついでに、チェックリストの2-4を検査しましたが、おかしなところはありませんでした。コンプレッサーの3相交流電圧にも問題はなさそうでした。
エアコンのスイッチを入れると、室外機のファンが回転を始め、室内機から出てくる風が徐々に冷たくなりました。とりあえず、使えるようになりました。今回の故障の原因は、接続の不具合(接触不良)という単純なものでした。長く使っている電気器機に起こりがちなガタです。定年退職者の凡夫には、今回の点検と修理(修理と呼べるかな?)は、気分転換を兼ねた暇つぶしになりました。