年金生活 (2)
2019 11 28(art19-0192)
前回、会社勤務の人が加入する厚生年金のことを書きまた。今回は、農林魚業等を個人的にやっている自営業者が加入する国民年金の話です。湯梨浜町は農業町 ( 一部漁業町) で、かつては、米に併せて梨をつくる農家が多数ありました。近年、梨の生産農家は随分少なくなりましたが、地区によってはまだ健在のようです(羽合地区(24戸)、東郷(227)、泊(20)。平成29年「梨生産再生プラン」より)。国民年金は、稼ぎ額に関係なく、一定の保険料 (16,490円/月) を支払い、老後年金として給付を受けます。
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40年間支払い、20年間年金の給付を受けるとして、試算してみます。
支払保険総額 16,490円 x 480月 = 7,915,200円
年金給付総額 779,300 円 x 20年 = 15,586,000円
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大雑把に言って、支払った保険総額の倍近くの年金がもらえます。もっとも、保険ですから早く死ねばもらえませんが。
お得な年金ですが、月あたり6.5万円(夫婦2人で13万円)です。これでは、田舎とは言え、65歳で引退後、2人でのんびりと余生をおくることはできません。不足分を補填するため、別の年金に入っています。農業者年金や小規模企業共済などです。
農業者年金は、積立方式/確定拠出型の年金で、積み立てられた保険料は運用され、毎年の運用収入(付利額)によって、将来受け取る年金額が決まります。
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夫婦で、30年間2万円支払い、老後20年間年金を受け取るとします。運用利回りを2%として試算します。
支払い総額 (2万円+2万円) x 12月 x 40年 = 1920万円
受け取り総額 (76万円[男]+65万円[女]) x 20年 = 2820万円
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かなりお得な年金です。加入資格は、国民年金に加入していること、年間60日以上農業に従事していることです。農家の人は問題なく加入できます。月当たり11.75万円の年金を死ぬまでもらえます。なお、平均寿命が長い女性の方が、年金額が少なくなっています。この農業者年金に、国民年金の11.75万円を加えると、約25万円/月になります。これで、農夫婦2人余生を過ごせます。
田舎暮らしはお金がかからないと言いますが、実のところ、そうでもありません。むしろ、老後の生活だけを考えれば、ここに移り住む前に20年間暮らした横浜と同等かそれ以上にかかっているのではと思えます。衣食住に直接関係しない諸々の支出が結構あります。このあたりは微妙なことでもありますので、別の機会に書こうと思います。