今日も、"ようこそ"      

今日も、"ようこそ"

定年退職後、横浜市から湯梨浜町(鳥取県)に転居しました。 ここには、両親が建てた古い家が残っています。 徒歩5分で東郷池, 自転車15分で日本海です。 また、はわい温泉の温水が各家庭まで届き、自宅温泉を楽しめます。 ブログでも始めようかと、HPを立ち上げました。最近始めた木工工作と古くなった家のリフォームの様子を、田舎の日常に織り交ぜながら、お伝え出来ればと思います。

入院生活

2019 12 19(art19-0195)
入院した病院にインターネット環境が整備されていないこともあり、ブログの更新が延び延びになっていました。息子がモバイル WiFi ルーターを短期契約し送ってくれましたので、インターネットが使えるようになりました。

入院生活は久しぶりです。23年前、横浜で十二指腸潰瘍の穿孔による腹膜炎で緊急入院して以来ですから。入院してみると、いろいろな病人がいることが分かります。外科病室にいますから、手術を受けた患者さんが殆どです。元々糖尿病を患っている人がすくなからずいて、食事の前後に血糖値を検査されています。値によっては、何単位かのインシュリン注射を受けています。糖尿病をもっていると、手術後の回復が遅れ入院期間が長引きます。

製薬会社で癌の薬の研究をやっていましたので、抗癌剤には詳しくなりました。癌が見つかった時、手術によって癌部を完全に摘出できる場合は、手術の適応となります。手術適応患者は生存できる可能性があります。一方、手術が適用されない癌の場合は、放射線や抗癌剤を用いた治療になります。こちらの患者は生存できる可能性はとても低いものです。理由は、放射線も抗癌剤も、完璧に癌細胞を死滅させることができないからです。

病室に、Xさんという患者がいました。凡夫のベッドの右隣です。いつもカーテンがひかれていました。毎日、1時頃に奥さんが訪ねてきました。奥さんは、必要なことを伝えると、長居をすることなく、早々に帰られました。Xさん、数ヶ月の入院だったようですが、同室の患者と談話をすることもなく、終日、カーテンの中に閉じこもっていました。看護師さんには愛想がよいのですが、患者が、患者とあるいは見舞い人と話が弾むと、カーテン越しに「うるさい」の一言を発します。

Xさんは、先週の土曜日に、奥さんの付き添いで退院されました。点滴装置の一式と大量の点滴薬、そして、痛み止めの薬を持って。自宅で、治療を継続することになったようです。一度も話をしたことがありませんので、本当のところはわかりませんが、さきの見えない/見たくない状況にあるのではと推察できます。

消灯後、部屋の数か所から、「痛い、痛い」の声が聞こえます。手術後の痛みです。これらは終わりのある痛みです。そのせいか「痛い、痛い」の声のどこかに余裕を感じます。Xさんも時々「痛い」と小さな声を出していました。こちらの「痛い」は終わることのない痛みです。気が滅入りました。
一閑人でなくとも、そんな痛みは井戸の底にでも沈めることができれば、と思います。

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