退院
2019 12 23(art19-0196)
退院しました。治った訳ではないのですが、自宅で肺機能が戻るのを気長に待つことになりました。この度の入院は、肺塞栓症によるものです。肺塞栓症は、血栓が肺動脈につまることで起こります。肺動脈がつまると、肺胞へ血液が届かないので肺胞で行われる血液-ガス交換ができません。血中酸素濃度が低下し、呼吸不全を引き起こします。血中酸素濃度が更に低下すると心虚血性障害や意識障害に至る危険性があります。日本人の肺塞栓症による入院死亡率は15%前後といわれており、注意が必要な急性疾患となっているそうです。
朝いつものように新聞を取りに、玄関を出たところ、息苦しく、ひどい疲労感がありました。変だなと思いましたが、数日前からかかっている風邪のせいかなと思い、様子をみることにしました。じぃーとしているとよいのですが、すこしでも体を動かすと息苦しくなり、動悸がします。状態が悪化してきましたので、休日の緊急外来の診察を受けました。CT検査を含め幾つかの検査を受けて、肺塞栓症と診断されました。症状がひどい場合は、胸を開いて肺動脈血を通す術式をとるとのことですが、幸いなことに、酸素マスクを介して酸素を肺へ送ると血中酸素濃度がある程度回復しましたので、開胸手術は逃れました。
治療は、点滴薬による血液の凝固抑制と血栓溶解です。数日、点滴を受けていましたが、効果があまり現れませんでした。この間、ずーと、酸素マスクをしていました。担当医の話では、酸素マスクの生活もありうるとのことでした。酸素ボンベを常時携帯しての生活、あまり想像したくありませんでした。せめて、寝ている間は、そして、トイレだけでも酸素マスクから解放されたいと切に思いました。
点滴薬を変えると、少しずつですが、息苦しさが軽くなってきたように感じました。血中酸素濃度も上がり、数日後には、ベッドに横になっているときは酸素マスクを外せるようになりました。しかし、体を動かす時は、酸素マスクが必要でした。
そして、酸素マスクなしに、トイレへ行けるようになりました。しばらくして状態が安定し、一人でトイレにいけるようになりましたので、退院しました。もはや完全に元の体に戻ることはないでしょうから、とりあえず、一人で身の回りのことができることを目指し、気長に自宅療養を続けるつもりです。
診断時のCT検査によると左右の肺動脈の肺門部が血栓によって閉塞し、造影剤が侵入できず、両肺が白く浮かび上がることなくまっ黒と言うことでした。多量の血栓が飛んできたのでしょう。血栓の出どころははっきりしませんでしたが、一般に、血栓は脚にできた深部静脈血栓であり、これが血流によって肺動脈まで運ばれると言われています。
今回血栓ができた理由として、「1.一週間ほど前から風邪気味で水分の摂取がおろそかになったこと。2.雨天が続き、散歩に出かけることができなかったこと。3.区の会計の資料作りが、〆期日の変更もあり、短時間で作成せざるをえなかったこと。その為、長時間、パソコンに向かっていたこと」が思いあたります。これらの3つの要因(脱水症状、運動不足、同じ姿勢での長時間作業)がたまたま重なってしまったことによるのでしょう。加えて、背景には歳を取ったことがあると思います。だだ、老年の自覚、できそうでできないものです。