今日も、"ようこそ"      

今日も、"ようこそ"

定年退職後、横浜市から湯梨浜町(鳥取県)に転居しました。 ここには、両親が建てた古い家が残っています。 徒歩5分で東郷池, 自転車15分で日本海です。 また、はわい温泉の温水が各家庭まで届き、自宅温泉を楽しめます。 ブログでも始めようかと、HPを立ち上げました。最近始めた木工工作と古くなった家のリフォームの様子を、田舎の日常に織り交ぜながら、お伝え出来ればと思います。

鶏糞

2020 04 13 (art20-0228)
鶏糞は、窒素 (N)、リン酸 (P)、カリ (K) の肥料の3大要素が豊富に含まれている有機肥料です。

ホームセンターには鶏糞袋が山のように積まれて販売されています。鶏糞には乾燥鶏糞と発酵鶏糞がありますが、その違いに頓着することなく、最初に目に入った山から鶏糞袋を取り出し購入しました。持ち帰った鶏糞を畑の果樹周りに播いたところ、くさくてくさくて、たまりません。昨年はくさくなかったと記憶しているのですが、今年の鶏糞の臭いは異常です。
畑の南側に民家があり、このところの北西の風にのって、臭いが民家の方へ流れています。乾燥鶏糞の臭いは数日続きます。いつ苦情が出てもおかしくない状況にあります。何とかしたくても、対処法を思いつきません。一度広く撒いた鶏糞を回収することはできませんので。どうなることやら。

この鶏糞のくささ、どうしたのでしょう。昨年使用した鶏糞袋を取り出してみたところ、商品名は発酵鶏糞とあります。今年は乾燥鶏糞です。発酵と乾燥、何がどのように違うのか、インターネット上の記事に目を通して、ちょっと整理してみました。

鶏は飛べなくなったとは言え鳥ですから、最初は鳥の特性の確認。まず、排泄口が一つしかなく、糞と尿を混合して排泄すること。もう一つ、比較的腸が短く、食べた物が早く排泄されること。このため、排泄物の内容が食べた物の影響を受けやすいことになります。

尿中には尿酸がたくさん含まれていますから、鶏糞は尿酸をたくさん含みます。また、鶏の餌には濃厚飼料(穀物を主とした飼料で、繊維質が少なく炭水化物やタンパク質含量が多い)が使われていますから、消化・分解が容易でよく吸収されますが、同時に、窒素、リン酸、カリウムの排泄も多くなります。窒素の多くが尿素や尿酸として排泄されます。

鶏糞のくささは、養分(特にタンパク質)に富んだ餌が体内で最後まで分解されないで、外にでてしまうからだと推察されます。お腹の調子が悪い時、人糞の臭いがひどくなるのと同じことです。鶏関連の臭気成分は150種 (農機学51(4) p99 田中博) が同定されています。このなかで、インドール、スカトール、硫化水素、そしてアンモニアが代表的なくさい臭気の成分です。

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さて、鶏糞を放っておくと、細菌によって尿酸や尿素は分解されアンモニアが発生し、窒素分が消失します。しかし、乾燥処理を行い鶏糞内の水分を飛ばすと窒素の消失を防ぐことができます。これが、乾燥鶏糞です。乾燥鶏糞には尿酸が白い塊として残っていますが、糞の悪臭もそのまま残ります。

一方、鶏糞を発酵処理したものが発酵鶏糞です。尿酸や尿素は発酵細菌によってアンモニアに変わり発酵熱によって気化されますが、一部は酸化され硝酸体に変わります。硝酸体は作物に養分として吸収されます。発酵処理過程で、いろいろな細菌の働きによって糞の臭いは分解されて悪臭が消えます。

鶏糞は N・P・K が豊かな有機肥料ですが、使用に当たっては、臭いの他にも幾つか注意点があります。
乾燥鶏糞中の尿酸や尿素は土中の細菌によって硝酸体になります。このとき、アンモニアが発生しますから、アンモニアによる土壌pHの上昇(アルカリ化)に注意する必要があります。また、市販されている発酵鶏糞の多くは、まだアンモニアが残っている状態だそうです。そのような発酵鶏糞の使用には乾燥鶏糞と同様な注意がいります。
他方、産卵鶏由来の鶏糞の場合にはカルシウム含量が高いことも注意点です。卵殻の形成を助けるため餌にカルシウムを多く含ませることがあり、その結果、鶏糞中のカルシウム分(炭酸カルシウムやリン酸カルシウム)が多くなっているそうです。鶏糞を播くことは、石灰も併せて撒いているようなものですから、土壌の過剰なアルカリ化には注意が必要です。

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