新型コロナウイルス感染症(1)
2020 07 27 (art20-0258)
「Go to トラベル」キャンペーンを逆なでするように、新型コロナウイルス(新コロ)感染者数が増え続けています。ひところは東京都の感染者数が目立っていましたが、このごろは、大阪、名古屋、福岡、横浜、神戸などの大都市を抱える府県の感染者数が多くなってきました。23日、全国の新規感染者総数が最多値981名を記録しました(COVID-19、新型コロナウイルス感染速報より)。新コロの感染経路として、空気感染の可能性が指摘されているようですが、やはり主要経路は飛沫感染のようです。飛沫感染は、咳、くしゃみ、発声の際に、口や鼻から病原体を含む大きなエアロゾル(しぶき)が飛び出し、近くにいる人の顔に直接かかり、眼、鼻、口の粘膜から感染するものです。感染拡大を防ぐには、感染者はエアロゾルを人に向けて放出しないこと、非感染者はそのエアロゾルを浴びないことのようです。その為には、感染者と非感染者の接近をさけること。そうもいかない場合には、両者がフェイスシールドを装着すればよいのですが、フェイスシールドを装着して外出するのはちょっと厄介ですので、マスクで代用します。マスクの装着は、感染者からのエアロゾルの放出と、非感染者の鼻や目へのエアロゾルの付着を、完全ではありませんが、防ぐと言われています。また、メガネは、目へのエアロゾルの付着を、ある程度、軽減するそうです。
そもそも、新コロ感染者が、外出を控える等で、非感染者に近接しなければ感染が広がることもないのですが、感染者は、自覚症状がないため自身が感染していることを知る由もなく、あるいは、自覚症状があってもPCR検査で自身が感染していると判定されるまで、普段通りに過ごしますから、非感染者に新コロをうつす機会があります。感染者を識別できれば事は単純ですが、それができない以上、誰に対しても用心し、対人距離を大きく取って感染防止用マスクをつけることになります。非感染者同士が互いに警戒することは、滑稽ではありますが、致し方ありません。
このところの政府の新コロ対策は、新コロを完璧に抑え込もうとするものではなく、経済活動を停めることなく新コロの感染拡大を防ごうとしています。そうすると新コロ感染者の出現をある程度許容することになりますが、それに対しては医療体制の完備でフォローするといったところです。具体的には、入院治療が必要な感染者が、すべて、入院治療を受けることができるようにベッド数と医療スタッフを確保しておく、です。
ベットの確保は各自治体の責務ですが、ベッドの必要数は、感染者数と入院治療が必要な患者数を推定することで決定されます。鳥取県の新コロ対策のHP(新型コロナウイルス感染症特設サイト: https://www.pref.tottori.lg.jp/corona-virus/) を観ますと、医療提供体制等のなかに、「第2波に備える医療体制の充実」なる項目があります。これによりますと、ベッドの確保は、フェーズ 1,2,3 の3段階のフェーズを設定し、逐次実施されるようです。各フェーズで100ベッドですから、最終的な確保ベッド数は300です。フェーズ1のベッド数の40%が入院感染者で占有された時点で、フェーズ2へ移行し、100ベッド追加されます。同様に、フェーズ2のベッドが40%使用された時点で、フェーズ3へ移行し100ベッド追加されます。総計300ベッドの確保体制を敷いています。その数は、4月に収束した第1波の感染症のデータを使用し第2波の感染推移を推定し、感染ピーク時点の必要ベッド数、276に基づいて設定されたようです。
感染者数および入院治療ベッド数の推定には、”実効再生産数 (Rt)” が使用されています。これは、「ある時点における1人の感染者が平均的に何人に感染させるかを表した」ものです。Rt が1.0 より大きくなると感染が拡大へ、1.0より小さくなると感染は収束へ向かうことになります。県のHPによりますと、Rtを国の標準設定値の1.7より高めの2.0に設定して感染者数および入院治療者数 (= ベッド数) を推計したそうです。
”実効再生産数 (Rt)” を理解するよい機会だと思います。