ニジュウヤホシテントウ
2020 08 20 (art20-0265)
テントウムシの多くは、肉食で、作物には悪さをしません。植物につくアブラムシやハダニを食べますから、益虫と言えます。よく見かけるナナホシテントウムシやナミテントウムシはこの部類です。一方、ニジュウヤホシテントウとオオニジュウヤホシテントウは、草食で作物に悪さをします。ナス科の作物に食害を及ぼす害虫として知られています。名前の通り、左右の前翅の背面に14個づつ、合計28個の黒い斑紋があります。オオニジュウヤホシテントウは、ニジュウヤホシテントウより大きな斑紋を持ちます。
ナスの葉に虫が齧った痕が見られました。薄皮(表皮)を残して、葉肉を食べているようで、光にかざすと、透けてみえます。葉を裏返しにすると、黒っぽいテントウムシがいます。黒っぽくみえたのは、背面の沢山の黒斑のせいでした。ニジュウヤホシテントウです。食痕が独特です。食べ残しが筋となり、規則正しく並んで縞模様を呈します。これは、頭だけを動かして下方(手前)から上方(向こう)へ齧り、体を横に少し移動させて再び頭だけを動かして下方から上方へ齧る、これを繰り返すことで形成されます。かなり、几帳面な食事マナーです。
しばらく静観していました。しかし、葉の食害が目立ってきましたから、見つけ次第、殺すことにしました。指先でつまんで圧し潰します。葉の裏側を食べると言われていますが、表の葉にも見かけますから、裏だけでなく表からも葉を食べるようです。穴があいている葉も多く見られます。幾日か、捕殺作業をやっていると、さすがに数が減りました。ただこの間に、ナスの葉は傷つき、みじめな姿に変容しました。殺虫剤を使用すればこうはならなかったのですが、毎日ナスを収穫していますから、そうもいきませんでした。
島根県の病害虫の情報によると、冬を越した成虫は春にジャガイモの新芽の葉を食害しながら産卵し、6月中旬 - 7月中旬に第1回の成虫となり、8月中旬‐9月に第2回の成虫が出現するそうです。畑のナスを食い荒しているニジュウヤホシテントウは2回目の成虫のようです。8月の収穫期に出現する成虫を退治するのは、薬剤が使えないので厄介ですから、6月中旬 - 7月中旬に出現する第1回目の成虫か、その卵を、駆除することが得策だと思われます。