鴨居に頭をぶつける
2020 10 12 (art20-0280)
何にせよ初めて経験することは興味深いことです。それが老いに起因することであっても。年齢と共に心身がどう変わっていくのか、興味津々です。ここでの変化は、医者の世話になるような大きな変化ではなく、徐々に進行していく小さな変化です。日々の暮らしの中で、そうした変化に気づくことはないのですが、ある日を境に、様変わりします。かつては、できていたことが、この頃、できないなーとか、難しくなったなーと感じたり思ったりします。逆の変化もあるでしょう。以前には、難しかったことが、このごろ、容易になったなーと。以下はそうした変化の一つです。
このところ、鴨居に頭をぶつけることが多くなりました。
今住んでいる家は両親が52年前に建てた家なので、内法寸法(敷居から鴨居の高さ)は5尺7寸(176cm)です。凡夫の身長は10代後半から変化していませんから、鴨居をくぐる時、頭をぶつけないように頭を下げることが習性になっている筈なのですが、このごろ、ゴツンときます。
頭をぶつけた時の状況を想起してみると、二通りありそうです。
(1) 鴨居があることが分かっている場合。
鴨居が前方にあることは分かっているので、くぐる時、頭を下げたつもりですが、ゴツンときます。ゴツンとくるのは、頭を下げる動作が遅いため、頭の下げ幅が足りないのではと考えています。鴨居をくぐることを意識しながら頭を下げるとゴツンときませんから、体の動きとしては問題ありません。しかし、普段は習性として頭を下げているだけで、それを意識的に行っていませんから、頭を下げる動作の速度は身体能力に依存します。年齢とともに動作の敏捷性は低下するでしょうから、鴨居をくぐる時、前へ進む動作と頭を下げる動作との間にズレ(ここでは、頭を下げる動作が間に合わないこと)が生ずることになります。特に、急いでいる場合は、そのズレが大きくなるので、ゴツンとくるのでしょう。
そうであるとすれば、ゴツン防止策は、急がず、ゆっくりと鴨居をくぐること、と言えます。
(2) 鴨居があることを失念している場合。
何か考え事をしているような時に、突然ゴツンときます。これは、あたるべくしてあたるのですから、どうしようもないことです。何かに気をとられないようにすることはできませんから。
そうではありますが、鴨居の存在を気づかせることができれば、状況は (1) へ移行します。そこで、家内は、たびたび頭をぶつける鴨居にのれん様の布きれをぶらさげました。それ以降、その鴨居に頭をぶつける回数が減ったように思います。
何はともあれ、抜本的な解決は内法寸法の大きな家に住むことです。最近の家屋の内法寸法は6尺 (182cm) だそうです。この高さだと、凡夫には、バリアフリーの頭上となります。しかし、そんな家に住むことはないでしょうから、今の鴨居とのお付き合いは続きます。どうぞ、お手柔らかに。