朗読
2021 5 31 (art21-0346)
今朝、少し早く起きて、カキとプルーンの木に農薬を散布しました。遅い朝食を済ませ、今、寛いでいるところです。農薬散布は、噴霧粒子が風で流されないように、早朝の風の無い/弱い時に行うようにしています。横浜在住の ”365日ひま老人” さんから、NHKラジオ放送の番組 “朗読” にはまっているとのメールをもらいました。その番組は、毎日、午前9:45から10:00までの15分間放送されています。現在朗読されているのは有吉佐和子の「紀の川」だそうです。全50回放送の半ばを過ぎたとのことでした。(今日、31日は第46回とありますから、あと数回を残すのみです)
どんなものか、一度聴いてみることにしました。NHKのネットラジオ ”らじる★らじる“ でアーカイブを探してみたところ、幸いなことに、”聞き逃し番組“ のなかに、”朗読“ がありました。番組の放送後、約2ヶ月間配信されているようです。番組 “朗読” は、明治以降の日本文学、西洋古典の翻訳を中心に、著名俳優やアナウンサーの朗読で名作の息づかいをじっくりお聞き頂くシリーズだそうです。現在放送中の有吉佐和子の「紀の川」の朗読は、2016年発行の新潮文庫版です。
“らじる★らじる” で、第1回の放送分から聴いたのですが、凡夫もはまってしまいました。朗読者の藤田三保子の低い声がよいのか、小説そのものがよいのか分かりませんが、とにかくおもしろいのです。一度に、数回の放送分を小1時間かけて聴いています。おもしろいものを教えてもらったと、横浜のひま老人さんに感謝しております。
「紀の川」は、和歌山を舞台に、素封家の女性3代、明治生まれの花、娘の文緒、孫で戦後世代の華子まで、明治・大正・昭和を生きていく様を描いた作品であると、ウィキペディアにあります。凡夫は、「恍惚の人」(1972)、「複合汚染」(1975)、「複合汚染のその後」(1977)などの、晩年の作品しか読んだことが無く、有吉佐和子と言えば、社会派の著述家の一人だと思っていました。
第42回の放送分を聴き終わったところです。花、文緒、華子の3代続きの女性の中で、文緒の言動のどこかが、恥ずかしく軽率に感じられるのは、凡夫が歳をとったせいでしょうか、あるいは、嘗ての自分の一端との重なりを内省しているからでしょうか。どっしりと継承されてきた伝統に個人的に抵抗する文緒の姿はある意味で滑稽でもあります。その抗いは、少しづつ、しかし、着実に呑み込まれてしまうものなのでしょう。