エカキムシ
2021 7 29 (art21-0358)
ミカンの夏枝の新葉の多くが、内側/裏側に巻いていました。葉を開いてみると、葉の裏側の表皮が透けて、その内に黒っぽい筋が通っています。筋は行ったり来たりして、不規則な模様を描いています。目を凝らすと、黒い筋の先端に白っぽい棒状体が見えます。エカキムシ(絵描き虫)です。エカキムシは通称で、ミカンハモグリガの幼虫です。体形は扁平、体長は2-3mm、体色は淡黄白色で半透明です。ハモグリガが柔らかい葉の葉肉に卵を産み付けます。その卵からふ化した幼虫は、表皮直下の葉肉、海綿状組織、を食べ進みながら糞を排泄します。幼虫が通ったあとに、排泄物が黒っぽい線(筋)となって残ります。ミカンハモグリガは、6月から10月にかけて発生し、夏芽や秋芽から伸びた新梢葉を食害します。また、幼虫の食害痕から潰瘍病の病原細菌が侵入し、潰瘍病を引き起こすこともあるそうです。
とりあえず、被害葉を開いて幼虫を指先で圧殺しました。しかし、翌日、新たな被害葉が見つかりました。幼虫を見過ごしたようです。再度、指先で圧殺しましたが、手作業で一匹づつ殺していてはきりがありませんから、殺虫剤を散布しました。効果がありました。しかし、その効果は長く続かないようで、1週間後には新たな被害葉が見つかりました。
で、どうしたものかと思案はしましたが、妙案が浮かばず、放って置くことにしました。すくなくとも、春芽から伸長した春枝に付いている葉は、被害を受けていませんから。