アゲハチョウの幼虫
2021 8 12 (art21-0362)
ミカン畑のレモンの葉に、アゲハチョウの幼虫と卵を見つけました。幼虫は、4cmほどの緑色の終齢幼虫と1cmほどの白茶まだら模様の2,3齢幼虫です。卵は、1mm大の球形で、少し黄色がかっています。アゲハチョウ(ここでは、よく見られるナミアゲハです)の一生:
産卵から4~6日で孵化し1齢幼虫になる、脱皮を繰り返すごとに大きくなり、5週間ほどかけて5齢幼虫となる。大きさは4cm前後である。この間、体色が変化し、1齢から4齢は、鳥の糞に似せて、黒(茶)色と白色のまだら模様であり、5齢は緑色となる。5齢の幼虫 (終齢幼虫) (10日ほどの期間) は、食欲旺盛で、緑の葉をバリバリ食べて、黒っぽいコロコロした糞をする。その後、下痢様の糞をたれて体内に残っている未消化物を排泄した後、蛹へ変態する。1、2週間後羽化し成虫となる。成虫の寿命は2週間ほどである。広い範囲を飛び回って1mm大の白い卵を1葉に数個ずつ産む。総数は200個ほど。
アゲハチョウがミカンの葉に産卵するのは、幼虫がミカンの葉を好むからと推察できますが、では、アゲハチョウはどうやってミカンの葉を選んでいるのでしょうか。これは、食草選択という本能のプログラムだそうです。産卵前に、“ドラミング” と呼ばれる行動を行い、ミカンの葉に含まれている不揮発性の物質を “味見” しているとか。"ドラミング" は、前脚2本で交互に葉の表面を叩く行動です。ミカンの葉には、10種類の産卵刺激化合物が報告されているそうです。アゲハチョウはそれらの化合物を味わうことで、産卵が誘導され、結果として、幼虫が好む葉を選んでいるのでしょう。すべては、DNAに織り込み済みのプログラムに従った行動なのです。
アゲハチョウは、小学校の理科の飼育観察によく使われています。週ごとに形や大きさが変化していきますから、飼育しがいがあるというものです。子供達には、緑色の終齢幼虫はポケットモンスターの一つ “キャタピー” として、さらに、完全変態(終齢幼虫―>蛹―>成虫)は、“キャタピーの進化“として、お馴染みの事物でしょう。子供だけでなく大人にとっても、公園や庭で、アゲハチョウがひらひらと飛び交う姿を目にするのはよいものです。
こんなに親しまれている身近なチョウですが、ミカン畑では、葉をムシャムシャ食べますから、ミカン栽培農家にとっては、歓迎できないようで、害虫として扱われています。
下の写真は、キンカンで見つけた羽化直後のアゲハチョウです。蛹の抜け殻が直ぐ近くにあります。