今日も、"ようこそ"      

今日も、"ようこそ"

定年退職後、横浜市から湯梨浜町(鳥取県)に転居しました。 ここには、両親が建てた古い家が残っています。 徒歩5分で東郷池, 自転車15分で日本海です。 また、はわい温泉の温水が各家庭まで届き、自宅温泉を楽しめます。 ブログでも始めようかと、HPを立ち上げました。最近始めた木工工作と古くなった家のリフォームの様子を、田舎の日常に織り交ぜながら、お伝え出来ればと思います。

仏壇

2021 9 02 (art21-0368)
先日、庭木の剪定を業者の人にやってもらいました。業者の人はYさんと言い、父が亡くなり母が一人になったときに、先任者から交代した人です。もう10年になります。庭木の手入れは、凡夫自身もやります。しかし、素人ですから、少し飛び出た枝や枯枝を切り取るくらいで、大胆に枝を落として整形することができません。そこは、やはり、プロの技が必要です。

庭でごそごそしていると、後方から声が掛かりました。
「Yですけど、明日、庭木の手入れをやりましょうか」
「あっ、Yさんですか。明日ですか。いつでもいいので、天気がよければ、お願いします」
「では明日やります。梯子をおかせてください」
「どうぞ、どこにでも」
翌日、朝早くから、Yさんは庭木の剪定にとりかかりました。その日は、よい天気でした。

小さな庭ですが、いくつかの木が植わっています。家の築年が53年になりますから、小さかった庭木もそれなりに大きくなっています。生長が遅いと言われているソテツの幹が凡夫の肩にとどきます。
庭の西側に松と椿の木があります。随分高くなり枝葉が伸びて隣家にかかるようになりました。Yさんから相談を受けて、上部を落とすことになりました。頭が無くなった椿の姿は少し変ですが、数年すると、新たに枝が出て頭がつくれるそうです。

Yさんは話好きで、いろいろなことを次々と話題にします。屋外から、廊下の窓ごしに、床の間の仏壇が見えたようで、仏壇の大きさの話になりました。この辺りは、浄土真宗の門徒(檀家)が多く、大きな仏壇を備えている家が多いそうです。我が家の仏壇も大きい方だそうです。ただし、Yさん宅の仏壇は、更に大きいとか。我が家の仏壇は、床の間の西側の収納スペースにすっぽりと入れ込まれています。この仏壇はこの家を建てる時に祖母が父に頼んだものだと聞いていますから、仏壇の大きさに合わせて収納スペースを設けたのでしょう。

夕食の前に、仏壇の前で手を合わせています。ご飯を炊いた時は、家内がご飯を供えます。仏壇にお参りすることは、子供の頃からの習慣です。この辺りの家には仏壇があり、我が家とおなじようにお参りしています。今の凡夫にとっては当たり前のことですが、ちょっと、考えてみれば、これは当たり前のことではなさそうです。この家を離れて過ごした数十年間、仏壇の無い家屋に住んでいましたから、仏壇にお参りすることはありませんでした。

仏壇は家に紐づいているものです。そして、死もまた、家に紐づいているのでしょう。そうだとすれば、死者を出したことのない家には仏壇は不要です。大多数の人が、そのような家で暮らしています。凡夫と家内がそうだったように、遠くで暮らす子供達夫婦も、仏壇をもつことはなく、従って、日々、仏壇に手を合わせることはないのです。

幾人かの死者(祖母、父、母)を見送ったこの家に住むことになり、毎日、家内と2人で仏壇に向かい手を合わせています。その度に、亡き人を思い起こします。

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