歯周病(2)
2021 9 20 (art21-0373)
歯周病が怖いのは、歯を支えている土台の歯槽骨が溶けることです。そうなると、歯を支えることができなくなりますから、歯がぐらつき、放って置くと、抜けてしまいます。厚労省のe-ヘルスネットによると、歯周病は、歯を失う原因の37%を占めています。また、歯周病による歯の喪失は、年齢とともに多くなり、65-75歳が最も多くなっています。自家歯牙移植と言うものがあります。これは、事故などで失った歯を、自分の歯を抜いて移植するものです。移植する歯は自分の歯ですから、拒否反応のリスクも少なく、歯根膜が十分付いていれば移植先の歯槽骨にしっかり結合するそうです。
自家歯牙移植に用いる歯は自分の歯ですから、人工の歯を埋め込むインプラントよりも、よさそうに思えます。しかし、そうそう移植できる余分な歯があるわけではありませから、自分の歯を使う限り限界があります。しかし、もし、自分の細胞から再生した歯があれば、それを移植に使えます。
歯の再生はどこまで進んでいるのでしょうか。ネット上の情報では、マウス実験ではある程度成果が出ているようです。人工的に作成した歯胚をマウス体内に移植し、歯を再生することに成功しています。また、シャーレのなかで、歯の幹細胞を培養し、歯冠を作ることに成功しています。
歯の幹細胞から天然の歯と同じ形状や機能をもった再生歯をつくることができれば、その歯を移植することができます。歯自体の臓器としての再生が、数十年後には可能になりそうです。
かつて、体性幹細胞が相次いで発見されていた頃、研究所の同僚と再生医学の話になり、再生治療の面白そうなターゲットをアレコレと出し合うなか、歯の再生におちついたことを記憶しています。この時の歯の再生イメージは、in situ tissue regenerationで、失った歯の根元に、“種” を播いて、歯が生長してくると言ったものでした。