電位治療器
2022 11 10 (art22-0492)
近所のUさんは、最近食品スーパーの裏に開設された ”からだケア空間フィットット” 会場に通って、電位治療を無料で体験しているそうです。かれこれ数十回になるとか。体の調子がよくなったので、治療をもっと続けたいと言っています。ところが、今月末に、その会場は閉鎖されると聞かされ、自宅でできる家庭用電位治療器(コスモドクター)を購入しようかしまいか迷っている様子でした。価格は200万円と言っていました。一方で、新規の体験者が増えると、閉鎖が延期されると聞かされ、人集めに奔走しているようで、凡夫にも声がかかりました。で、電位治療器なるものを知ることになった次第です。ウィキペディアの「電位治療器」の項目に以下の解説があります。
『電位治療器は、交流電界または直流電界の中に人体を置き、または絶縁状態にある人体に対して一定の電位を与えることで治療を行う医療機器。
管理医療機器である「電位治療器」の認証基準に適合する製品に対して、薬機法の認証内容として、頭痛・肩こり・不眠症・慢性便秘の緩解が効果・効能として認められている』
頭痛・肩こり・不眠症・慢性便秘が緩解すると言うことですが、どうしてそうなるのか分かりません。どの程度緩解するものでしょうか。そもそも、電界の中で、あるいは、電位を与えると、人体に何が起こるのでしょうか。これらに関しては、残念ながら、いくら調べても出てきませんでした。
更に、ウィキペディアには、治療機器の販売方法についても解説されています。
『スーパーマーケットの催事場など、商業施設に開設されたプロモーション会場において、1ヶ月程度体験したあと「薬機法で認められていない範囲の効果」を感じた体験者が購入を希望するなど、事業者側から見ると消費者が購入を申し出てくる構図のため悪質な営業である「押し売り」は無いとしている。
プロモーション会場は来場者が多ければ期間を延長する仕組みのため、代理店企業はプロモーション会場の運営場所や期間をいっさい公表していない』
Uさんの話の内容と一致しています。この種の販売は、マニュアル化しているのでしょう。
業者は、薬機法で認められている効能(頭痛、肩こり、不眠、便秘)以外の効能を宣伝することはできませんが、電位治療を体験した人がどこそこが良くなったと個人的に発言することは法にふれません。それを聞いた人がそうか電位治療はよく効くのだなと興味をもつことになります。体験者の個人的な発言に基づく効能・効果が口コミで広がっていくことになります。Uさんは、「夜間にトイレに起きなくなった」、「手足のしびれがが治った」、と言っていました。高齢者の多くが、夜間頻尿や手足のしびれに悩まされているようですから、Uさんの話には興味をもつでしょう。会場が近いこともあり、ちょっと出かけてやってみようかな、と気持ちが動きます。体験は無料ですから。
効能・効果のエビデンスがなくても、よくなったと感じれば、その人にとってはありがたい治療機器なのです。自宅で使うために、機器を購入する人が出てくることも、肯けます。
しかし、200万円は高いと思います。どれほどの機器なのでしょうか。ネットのとある記事に、製作費は5万円前後とありますから、複雑な仕組みの機器ではないのかもしれません。もし、そうだとすると、かなり利益率が高い商品です。更に、集客はもっぱら口コミですから、この商売は、儲かるおいしいビジネスかもしれません。
さて、Uさんは、電位治療器を購入することになるのでしょうか。