今日も、"ようこそ"      

今日も、"ようこそ"

定年退職後、横浜市から湯梨浜町(鳥取県)に転居しました。 ここには、両親が建てた古い家が残っています。 徒歩5分で東郷池, 自転車15分で日本海です。 また、はわい温泉の温水が各家庭まで届き、自宅温泉を楽しめます。 ブログでも始めようかと、HPを立ち上げました。最近始めた木工工作と古くなった家のリフォームの様子を、田舎の日常に織り交ぜながら、お伝え出来ればと思います。

本『銀色の翼』と 脈診

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佐川光晴の『銀色の翼』(2006年、文芸春秋)を読みました。
脳腫瘍で緊急開頭手術を受けた後に精神を病んで入退院し、慢性の頭痛持ちとなった主人公雪村和夫が、慢性頭痛友の会で知り合った片頭痛持ちの看護師の美恵子と出会い、結婚し、茅ケ崎にマンションを購入して一緒に住む。結婚は入籍のみで、和夫は29歳、美恵子は36歳。美恵子は訳ありの過去をもつようであるが、一切明かすことはない。和夫がせめて家族関係を知りたくて、問い質しても恵美子からの返答はない。

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"銀色の翼" は、恵美子が片頭痛の前兆としてみる閃輝性暗点(視野の中にギザギザ・キラキラとした光の波ができ、次第に広がって暗くなり見えなくなるという現象)のことです。自身も片頭痛に悩まされていた芥川龍之介が、小説『歯車』のなかで、"銀色の翼" と表現したところから使われるようになったそうです。銀色の翼(閃輝性暗点)は20分程で消えます、そして、頭痛が起こるそうです。

さて、頭痛持ちの2人の生活がどうなっていくのか、面白く読めますが、特別な興味をもった点は、脈診です。
和夫は恵美子の金銭的援助を受けて、鍼灸専門学校に通い鍼灸師の資格を取ります。ある日、和夫は、恵美子の脈診を行って、「下腹部になにか塊がある。妊娠ではないのだから、子宮筋腫かもしれない」と伝え、病院で検査を受けることを勧める。検査の結果は、ごく初期〔ステージ0期〕の子宮体部癌であった。

脈診がそんなことまでわかるとは驚きです。 中国の時代劇ドラマ、例えば、『瓔珞(エイラク)〜紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃〜』や『如懿伝(ニョイデン)〜紫禁城に散る宿命の王妃』などでは、何か体調が悪い時は、医者が脈を取って診断し、処方するシーンがよく出てきます。

ウィキペディアには、脈診(みゃくしん)とは、患者の脈に触れて拍動の強さや早さ、硬さや太さ、浮き沈みなどを把握することで、疾病の状態を診察する方法。中国医学では、気血の状態が脈に現われ、脈診で臓腑の様子が分かると考えたため、古くから行われ、診断において重視された。昨今の中国医学では、四診(望診・聞診・問診・切診)の一つである切診に含まれる、とあります。
また、別の記事では、脈診で取れた「脈位」、「脈形」、「脈勢」などの情報は、病気の位置、邪気の種類、体力の強弱、臓器機能の盛衰などを判断することに役に立ちます、とあります。

現代医学では、大型機械に依存した検査によって、どこそこの臓器のこれこれの場所に、このような異変があるので、あなたは○○の病気であると診断します。ピンポイントで異変が検出できますから、その病変部だけが、治療の対象になります。一方、脈診では、ちょっと、腕の脈をとって、あなたの□□臓器は衰弱していますと診断しますから、その臓器が治療対象になります。ここに漢方が登場します。

自分が歳をとってわかったことがあります。体のあちこちにガタが出てきます。ガタを治すために病院にかかります。しかし、ガタは一つではありませんから、あちこちの病院にかかることになります。治したガタは、しばらくするとまた悪くなります。さらに、新たなガタがでてきます。週一であった病院通いが、週二になり、週三になり、いつの間にか、毎日病院通いをすることになります。こうなると、ピンポイントで診断し、ピンポイントで治療を行う現代医学の限界と言えそうです。
歳をとると心身がつかれやすくなります。どうも、ガタは、心身がつかれてくると出てくるようです。ガタを治すために病院へ行くのですが、むしろ、ガタが出てこないように、歳をとったら、心身(心と体)に活力をつけることが肝要のようです。さて、その方法とは?


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