薄く切った輪切り材の乾燥(木工)
2023 12 21 (art23-0608)
ヤマザクラの丸太を薄く切って輪切り平板をつくりました。ヤマザクラの丸太を輪切りにして、放っておくと、中心から放射線状にひびが入ります。これは、乾燥によるひび割れです。木の組織は水分を失うと収縮します。この時、水分の消失速度が木の周辺部では早く、中心部では遅いため、木の外と内で収縮力の歪みが生じます。これがひび割れを引き起こします (art23-0541)。
そうであれば、内外の水分消失速度を同じにすれば、ひび割れをふせぐことができます。輪切り材の場合、多くの水分が木口(切断面)から失われますから、輪切り材の厚さをできるだけ小さくして、両方の木口から水分が抜けていくようにすればよさそうです。
確かに、薄く切る(厚さ:2, 3mm)と、ひびは入りません。しかし、歪みが生じます。これでは平板として使えません。歪まないように、厚くする(1, 2cm)と、今度は、びびが入ります。
ひびが入らないように厚さ1, 2cmの輪切り材を乾燥させるにはどうすればよいのでしょうか。
ネット検索で、水中乾燥法に出会いました。この方法は、水中で乾燥させるのではなく、丸太を水中に1年間程浸けておき、水からあげて1年程かけて自然乾燥させるといったものです。水に浸けると木材のアク(樹液や樹脂成分)が抜けるので、水の通りがよくなり乾燥しやすくなるそうです。水分が全体的に失われるので、返りや割れが入りにくいと説明されています。
また、水中乾燥法を使って薄い輪切り材を乾燥させた実例もありました。1週間程度水に浸した後、風乾しています。凡夫のヤマザクラの輪切り材をやってみたところ、1週間程度の浸水では効果がありませんでした。浸水時間を3ヶ月以上に延長すると、割れることなく風乾できました。水に浸けると、水が濁ってきますから、時々、水を交換する必要があります。
乾燥した輪切り材の樹皮を取り除き、木口面をベルトサンダーにかけて磨きました。気持ちよいほどつるつるになります。湯呑やカップのコースターとして使えそうです。