ものづくり
2024 7 4 (art24-0664)
梅雨に入り、連日の蒸し暑さに辟易しています。そんな中、6月29日付の朝日新聞の連載記事「ひと」の欄が、ちょとした納涼になりました。 アナウンサーから伊勢根付の職人になった女性(42)の紹介記事です。根付とは、江戸時代に使われた留め具で、小物(印籠や巾着など)を着物の帯から紐で吊るす際の滑り止めです。ちょっとした装飾彫刻がほどこされています。材料は、木材、象牙,鹿角、ガラスなどです。木材としては黄楊、黒檀、樫、桜の木などが使われていますが、伊勢根付はもっぱら地元でとれる黄楊の木が使われているそうです。黄楊は、木質が極めて緻密で硬く、光沢があり、肌触りがよいので、根付けのような細かな工芸品に相応しい素材なのでしょう。
女性は、NHKのアナウンサーとして、伝統工芸の職人を紹介する番組を担当していたそうです。工房を尋ね、現場の厳しさや後継者不足の現実を目の当たりにして、自ら職人になろうと根付工芸の世界に飛び込んだそうです。2010年のことです。今は、根付を作る傍ら、伝統工芸を通してみえる日本の伝統文化の様を発信しています。
こういう人が、もっと出て来てほしものです。特に若い人から。そこにあるものや誰かが作ったものを情報発信する人ではなく、そこにないものを自ら作って発信する人です。今日び、前者が多すぎます。加えて、そこにあるものや誰かが作ったもので食い扶持を稼ごうとする人が多すぎます。楽で手っ取り早いのは分かりますが、皆が皆そうすると困った状況になりかねません。
下は、「ヘイヘイ、何言っているんだい。気楽にいこうぜ!」です。