今日も、"ようこそ"      

今日も、"ようこそ"

定年退職後、横浜市から湯梨浜町(鳥取県)に転居しました。 ここには、両親が建てた古い家が残っています。 徒歩5分で東郷池, 自転車15分で日本海です。 また、はわい温泉の温水が各家庭まで届き、自宅温泉を楽しめます。 ブログでも始めようかと、HPを立ち上げました。最近始めた木工工作と古くなった家のリフォームの様子を、田舎の日常に織り交ぜながら、お伝え出来ればと思います。

稲穂の芒(のげ)

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稲穂の芒(のげ)とは、稲の種子の先端の突起物を刺します。これは、種子を包む籾の中央の維管束が伸長してできた器官です。長いものでは数センチになると言われていますが、今日栽培されている品種は、多くが芒を持たないか、持っても短いそうです。近所の水田を廻って、芒付きの稲穂の見られる水田を探しましたが、なかなか見つかりませんでしたから、そうなのでしょう。一つ見つけた水田でも、稲穂の多くには芒が無く、ところどころの稲穂だけが芒を、先端付近の籾だけに、付けていました。

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ポットで稲を育てている小学生の集まりがあります。各人が自宅で育てている稲の生育状態について、意見交換を行っています。家内の勧めで、先日、その集まり(Zoom会議)に参加しました。

50年ほど前のことですが、減数分裂を制御している遺伝子を見つけようと大学院で研究を行っていました。その時、材料に使っていた稲をポットで栽培しました。随分前のことで、栽培の詳細は覚えていませんが、それでも、凡夫が何かコメントができるのではと、家内は考えたようです。

さて、意見交換は、水の管理、病気の症状、カメムシ対策など多岐に及びました。同じサイズのポットで、同じ品種(コシヒカリのようです)を育てているのですが、かなり生育状態が異なっていました。ポットの置かれている場所、水の管理、施肥の違いなのでしょう。

そんななか、1人の小学生が、稲の穂の先端から出ている細い棘のようなものが気になったようで、それは何かと質問してきました。それが、芒のことだとは分かりましたが、今まで、芒が何故あるのか、考えたことがなかったので、その場でコメントできませんでした。

就眠前に、少し考えてみました。記憶では、芒は針の様に細いのですがかなり硬くてぎざぎざしていて、何か、例えばふわふわした布や毛糸にくっ付きやすかったようです。この特徴から、長い芒であれば、動物の体毛にも付着するだろうと推測できます。そうであれば、芒は種子から伸長していますから、種子が遠くに運ばれることになります。野生種の稲は、長い芒をもっていると聞いたことがあります。
翌日、ネットで芒の役割を調べると、まさにそのこと、種子の拡散、が記されていました。そこには、鳥獣による食害から種子を保護するともありました。

今日、ネットを調べると簡単に答えを知ることができます。しかし、自分なりに考えてみることも大切です。そのとき、考える基になる事柄/知識が不可欠です。芒の場合は、芒の特徴です。その特徴さえ分かれば、動物の毛にくっ付いて遠くへ運ばれることは、容易に、小学生でも、推測できます。芒の特徴は、栽培している稲の芒に触ってみれば、分かる筈です。

勉強は、こうした思考の基となる知識をしっかり習得することにあると思います。それは、小中高での体験や学んでいる教科がそれに当たります。小中高と段階的に学習することや体験を重ねることで、思考の土台となる知識が構成されます。これが欠けると、自力で答えを導き出すことができませんから、誰かが解いた答えをネットや文献等で探すことになります。答えがネットや文献等に載っている場合は、それで済ますことができますが、載っていない場合は、お手上げです。そんな時は、自分の知識を総動員して、解答せざるを得ません。ここで、確とした基礎知識を会得している人と、そうでない人とには、大差が生じます。

かく言う凡夫は、小中高の勉強をおろそかにしてきた者です。進学相談時、地元の普通高校を受験しても合格しないと教師から宣告されました。その後、紆余曲折を経て大学に入り、大学院での研究を皮きりに、いろいろな場所で研究を続けてきました。その間、もっと、小中高の勉強をやっておけばよかったと思うことしきりでした。やはり、基礎知識は、その折々に、小中で学ぶべきことは小中生の時に、高校のそれは高校生のときに、勉強して積み上げておくものだと思います。


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