今日も、"ようこそ"      

今日も、"ようこそ"

定年退職後、横浜市から湯梨浜町(鳥取県)に転居しました。 ここには、両親が建てた古い家が残っています。 徒歩5分で東郷池, 自転車15分で日本海です。 また、はわい温泉の温水が各家庭まで届き、自宅温泉を楽しめます。 ブログでも始めようかと、HPを立ち上げました。最近始めた木工工作と古くなった家のリフォームの様子を、田舎の日常に織り交ぜながら、お伝え出来ればと思います。

本『がん消滅の罠、完全寛解の謎』

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このところ、ヒッキーです。空模様が安定せず、雨が降ったり止んだりで、終日居室で過ごすことが多くなりました。すこし気温が下がると、雨は霙や雪に変わります。時折の晴れ間にちょっと外出しては、畑をぐるっと見回ってきます。

岩木一麻の「がん消滅の罠、完全寛解の謎」(宝島社、2017刊)を読みました。第15回の “このミステリーがすごい” 大賞を受賞した作品です。

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なかなかの力作で、楽しく読めました。著者は現役の医者ではありませんが、国立がん研究センターで研究に従事していたようですから、がんの生物学的記述は確かなものです。また、ストーリーは、癌細胞や組織を研究対象にしていた研究者ならではの着想によるものだと思います。凡夫は製薬会社で癌研究に従事してきましたから、ある程度分かります。

ところで、厚生労働省が所管するPMDA(医薬品医療機器総合機構)の話が出てきます。製薬会社の創薬としてのゴールは、開発薬が認可されて販売されることです。薬の認可(承認)は、厚生労働大臣が行いますが、薬の審査はもっぱらPMDAが担当します。製薬会社は、基礎研究、非臨床試験、臨床試験を行い、有効性と安全性を確認した後、厚生労働省に承認申請を行いますが、それを受けて、PMDAが審査を行います。

申請された開発薬を、承認するか否かの判断は難しいことでしょう。薬は効くことが必須ですが、同時に身体に害を及ぼさないことが求められます。この有効性と安全性は、なかなか両立しません。この辺りに、創薬の難しさと大変さがあります。よく効くので、少しばかり害があってもOKをだすのか、いやいや、よく効いても害があるからNOとするのか、難しい判断です。
特に、抗癌剤などは。適応できる薬がなく、死を待つだけの癌患者は、効くのであれば、多少の害はあっても、使いたいと思うものでしょう。なかには怪しげな薬もどきでも。この辺りのことは、久坂部羊の「悪医」に書かれています。

新薬は安全であると言い切れません。薬の害は、短期間で現れるとは限りませんから。数年後、あるいは、数十年後に現れるかもしれません。申請前の試験で、何十年も安全性試験を行うことはできませんから、安全性の審査は数年間のものになります。 従って、承認/販売される新薬はとりあえず安全であるが、長期の安全性は分からないと言えます。いわば、見切り発車です。しかしながら、長期の安全性は、製造販売後調査でカバーされます。新薬が使われる現場での安全性(有効性も)が継続的に評価されていきます。問題が起これば、承認取り消し、販売中止となります。

この本、終わりに近づくと、話がドタバタしてきて、頂けませんでした。しかし、黒幕が破滅しない終わり方、悪くありません。


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