今日も、"ようこそ"      

今日も、"ようこそ"

定年退職後、横浜市から湯梨浜町(鳥取県)に転居しました。 ここには、両親が建てた古い家が残っています。 徒歩5分で東郷池, 自転車15分で日本海です。 また、はわい温泉の温水が各家庭まで届き、自宅温泉を楽しめます。 ブログでも始めようかと、HPを立ち上げました。最近始めた木工工作と古くなった家のリフォームの様子を、田舎の日常に織り交ぜながら、お伝え出来ればと思います。

ヌートリア

2020 04 06 (art20-0226)
東郷湖(池)は汽水湖です。湖は橋津川によって海とつながっています、その距離およそ 2 kmです。海から塩水が入りますから、湖水はいくらか塩分を含みます。その濃度は場所によって違いがありますが、3 psu (実用塩分、絶対塩分濃度表記では 0.3%に相当する) 前後で、海水(3.4%)の1/10 程度です。

橋津川が東郷湖に注ぐ河口に橋がかかっています。橋の中央に立ち東郷湖を眺めると、さほど遠くない湖面に数羽の鴨が群れています。鴨は、時折、潜水しては姿を消し浮上しては姿を現します。そんな鴨の群れの近くを背丈の低い何かが泳いでいました。泳ぎは速く、斜め後方に小波が立っています。橋のたもとに建つ軽食処 “Café ippo” 側の護岸へ向かっていました。はて、何だろうと、正体が気になり護岸へ近づいてみました。

そのものは、護岸に上がりました。その姿をみて、一瞬、カワウソかなと思いましたが、カワウソにしては可愛げがありません。しかも、ニホンカワウソは絶滅していますから、カワウソではなさそうです。とすると、一体この動物は何もの?。何枚か写真に収め、帰宅後、インターネットで調べました。

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どうやら、ヌートリアのようです。以下、ウィキペディアより。
〔南アメリカ原産のネズミ目(齧歯目)ヌートリア科ヌートリア属の小型哺乳類。「ヌートリア」とは、元々スペイン語で カワウソの毛皮の意味。日本には毛皮用に導入され一時期大飼育ブームとなったが、ブームが去ると野に放たれて、野生化している。今では、侵略的外来種として、イネやオオムギ、葉野菜などに食害をもたらしている。〕
京都に住んでいた時、鴨川でヌートリアを見かけてちょっとした騒ぎがあったと家内が話していたことを思い出しました。どこにでもいる外来動物のようです。

当地の生息分布を知るため、更にインターネットで検索しました。湯梨浜町役場の資料に、防除実施計画書(平成 22年)がみつかりました。それには、〔東郷湖の湖沼周辺や天神川・橋津川などの河川流域、町内全域の水路沿いに分布がひろがっている。田植え後の水稲の切り倒しや、野菜への食害あり。被害は年々拡大傾向。捕獲し殺処分〕との記述があります。

愛玩動物としては、ちょっと、可愛げがありません。ドブネズミの大型版といったところですから、どうしようもありません。顔といい、体毛の色といい、大きさといい、好感の持たれる見た目の要素がありません。もっとも、特定外来種に指定されていますから飼育したくても難しいでしょうが。

ただ、ヌートリアは毛皮用として持ち込まれたのですから、毛並みはよいのでしょう。写真のヌートリアは湖から上がったところで全身濡れています。文字通り、”濡れネズミ” です。これでは毛並みの良さを判断できません。
ウィキペディアには、〔丈夫で育てやすく、柔らかい上質な毛皮が安価に入手できるため、第二次世界大戦頃には軍隊の防寒用飛行服の裏地として、世界各国で飼育された。日本では1939年にフランスから150頭が輸入され、飼育が奨励された。当時は軍隊の「勝利」にかけて「沼狸」(しょうり)と呼ばれ、1944年ごろには西日本を中心に全国で4万頭が飼育されていた〕とあります。

この小動物も人間に翻弄された動物の一つなのでしょう。写真に撮ったヌートリアは、今も、河口あたりで生きているのでしょう。そして、いつか捕獲されて殺されるのでしょうか。前に紹介した侵略的外来種のジャンボタニシ(スミリンゴガイの通称) (art18-0037) と比べると、被害は少ないと思うのですが。ジャンボタニシも、食用として持ち込まれ、用済みとなるとポイと捨てられ、野生化したものです。

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