本「定年後」~豊かにいきるための知恵~
2020 11 23 (art20-0292)
新型コロナウイルスの感染者数が増え続けて、全国で2,500人を超えたと報道されています。片や、この3連休で観光地は大いに賑わっているとの報道もありました。おやおや、どうなっているのでしょうか。肺機能に少し不安を感じる凡夫としては、感染者が増え過ぎて、重症患者を受け入れるベッド数が足りなくなるような事態だけは起こってほしくないなーと思うのですが、どうなることやら。さて、定年後の話です。
定年前に、定年退職したら、時間に追われることが無くなるので、時間がゆっくり経過するだろうと考えていたのですが、退職してみると、そんなことはなく、時間の経つのが早く、一日がもう終わったのかと思うことしきりです。何かしなければならないことがある訳でもなく、何をするでもないのですが、いつの間にか暗くなり、今日も終わったのかと息を吐くことになります。まか不思議です。
先日などは、伐採して数年放っておいたサクランボの木(畑で苗木から育てていた木でしたが、野菜栽培のスペースを確保するために伐採しました (art18-009)。幹の太さが 7cmになっていました)を裁断し、長さ30cm程の丸太を数本作り、一つの丸太の皮の一部をカッターナイフで剥いだこと、と、数日前に縁側に広げた本(箱2つ分の新書版。移住前に住んでいた横浜のマンションに置きっぱなしの新書版の本で、東京に住んでいる娘に頼み、2つの箱に入るだけ送ってもらったもの。すこしカビ臭くなっていました)をパラパラとめくり、臭いの減衰を点検しながら、気になる本を読み返したこと、だけです。これで、一日が終わってしまいました。
読み返した本の中に、加藤仁著の「定年後」(岩波新書、2007年刊)がありました。すっかり、忘れていましたが、凡夫が定年退職する数年前に購入した本だと思います。3,000人以上の定年退職者の取材を25年間にわたって続けてきた著者が、定年後の生活を紹介しています。多くの具体例を知ることで、定年後を生きる上で大事なことを透かして見せています。定年後何をするかには正解はありませんが、“豊かに生きるため” には、ちょっとした要諦があるようです。
この本の具体例に登場する人は輝いています。活動的で、外との関わりを維持しています。決して、家に閉じこもって、一人のんびりと何をするでもなく一日を過ごしている人はいません。
しかし、何もしない過ごし方も一つの選択肢であると思います。30-40年間、会社や官公庁でがむしゃらに働いてきた人達は、定年後は、ゆっくりすればよいと思うのですが。ところが、長年がむしゃらに働いてきた人達の多くは、何もしないことに耐えられないようです。そこで、定年後も何かをすることになるのですが、何をどのようにするのか、頼れる人や組織がありませんから、これまた難題です。この本は、その難題を解く糸口が、どこにでも転がっていることに気づかせてもくれます。
もっとも、何かを始めようにも、一日がアッという間に過ぎてしまいますから、なかなか大変です。しかし、定年後は、時間だけは思い通りに使えますから、肩の力を抜いて気軽に取り組むことができます。とりあえず、ちょっとやってみようといったところから、でしょうかな。