木の色
2022 8 1 (art22-0463)
先日、取り分けスプーンをケヤキの木で作成しました (art22-0461)。仕上げには、ハワード社のButcher block conditioner (BBC、ミネラルと蜜蝋からなる) を塗りました。そのスプーンを家内が使っていました。形状に不都合は無いとのことでしたから、作り手としてはひとまずほっとしました。しかし、お粥を作るとき、そのスプーンでかき混ぜていると、白いお粥が黄土色になったと言います。どこから色が出て来たのでしょうか。
まず、仕上げに塗ったBBCの色かなと考え、熱いお粥と混ぜてみました。色がつきません。次に、白いお粥をスプーンのつぼにのせてかき混ぜてみたところ、お粥にうっすらと色がつきました(下図の右)。どうやら、取り分けスプーンを作ったケヤキ材そのものから出ているようです。
ケヤキ材はもとより、木には色があります。世の中には、いろいろな色の木があります。木を粉末状にしてクレヨンが作られているくらいです。ケヤキ材の色が、熱湯にさらされて溶出し、お粥に色をつけたのでしょう。木の色(物質)が熱湯で溶出することはよく知られています。桜染めもその一つです。サクラの木を細かく砕いて、水で煮れば、水が赤くなります。この赤色の水に布を浸すと、布は淡いピンク色に染まります。また、ケヤキの木をつかうと、水はオレンジっぽい黄色になり、これで布を染めれば、淡い黄土色になります。
趣味で、木製のスプーンや調理具を作成していますが、使用する木を選ぶ際には硬さや加工性だけでなく、色の溶出にも留意する必要がありそうです。安全性には問題はないと思いますが、今回のお粥作りのように、白い素材に色がつくと気になるでしょうから。