草書体-くずし字
2023 2 2 (art23-0516)
TV番組「ブラタモリ」をみています。タモリが知られざる街の歴史や人々の暮らしをブラブラ歩きながら解き明かしていく番組です。時折、寺社や旧家に残っている古文書を、タモリが読むシーンがあります。よく読めるものだと感心します。楷書でかかれた文字はともかく、行書で書かれた文字のなかにはかなりくずれたものもありますから、簡単に読めるものではありません。それでも、柔らかく、点画を繋げて書かれていますから、筆順を追うことはできます。しかし、草書となると別です。点画が省略されて、簡便にさっさと書かれていますから、文字ごとに形で覚えていないと読めないことがあります(東京書道教育会コラムより抜粋)。
さて、本題です。
少し前のブログで、温泉のおじさんの句碑を取り上げました(art22-0502)。下五を「酒を酌み」と読んだのですが、最後のハネとテンが気になって、「酒」でよいのかどうか、すっきりしない状態が続いていました。
そんな中、横浜の知友が、衡山草書と白舟草書によく似た「酒」の字形があるとメールで教えてくれました。筆順を調べたところ、ハネとテンで終わっていることがわかりました(漢字を書こう )。それにしても、下の3例の草書体のうち、左と中の文字は行書体の「酒」をくずしたものとみて、「酒」と読めますが、右の文字はそれでは読めません。形で覚える他になさそうです。
温泉のおじさんの酒好きを思えば、酌むのは「酒」でなくてはなりません。やはり、下五は「酒を酌み」です。湯せんにつけた徳利からお猪口に燗酒を注いで、日本酒を飲んでいるおじさんの姿が思い浮かびます。おじさんは、年上のおばさんを看取った後、平成4年に79歳で亡くなりました。