今日も、"ようこそ"      

今日も、"ようこそ"

定年退職後、横浜市から湯梨浜町(鳥取県)に転居しました。 ここには、両親が建てた古い家が残っています。 徒歩5分で東郷池, 自転車15分で日本海です。 また、はわい温泉の温水が各家庭まで届き、自宅温泉を楽しめます。 ブログでも始めようかと、HPを立ち上げました。最近始めた木工工作と古くなった家のリフォームの様子を、田舎の日常に織り交ぜながら、お伝え出来ればと思います。

本『養生訓』

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深沢七郎の『夢辞典』のオラガボケ(インキョ目ネハン科)には、老人は、面倒なことはしないで、自分勝手に暮らすこと、のんきにその日その日を過ごすこと、とあります(art24-0697)。まったく同感です。また、やりたいことがあれば、誰に気がねすることなく、やればよいのです。

ところで、『養生訓』を書いた貝原益軒は、この辺りをどう考えていたのでしょうか。貝原益軒(1630-1714)は江戸時代の草本学者(薬学者)です。『養生訓』は健康と健康法の指南書で、益軒83歳の時の著作です。85歳で亡くなっていますから超晩年の著書で、自分の体験に基づいて書きまとめたものと言えます。当時、85歳まで生きた人はごく少数でしょうから、この指南書は説得力があります。手元にある蔵書(徳間書店、1968)を開いてみました。

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『養生訓』の第八巻のタイトルは、「養老」で、老人の過ごし方を説いています。
「年老いては、わが心に楽の外、万端心にさしはさむべからず。時にしたがひ、自楽しむべし。自楽しむは、世俗の楽に非ず。只、心にもとよりある楽を楽しみ、胸中に一物一事のわずらいなく、天地、四時、山川の好景、草木 の欣栄、是亦、楽しむべし」
やはり、老人は老人らしく楽しみなさいと説いています。その楽しみは、自分の心にある自分だけの楽しみでよかろうと。

また、老人になれば、時間の進みが早くなるので、一日を精一杯楽しみなさいと説いています。
「老後は、わかき時より、月日の早き事、十ばいなれば、一日を十日とし、十日を百日とし、一月を一年とし、喜楽して、あだに日をくらすべからず。つねに時・日をおしむべし。心しずかに、従容として余日を楽しみ、いかりなく慾すくなくして、残軀をやしなうべし。老後一日も楽しまずして、空しく過ごすはおしむべし」

そして、なにごとも、穏やかにゆっくり行い、気力をたもつべしと説いています。
「老人の保養は、常に元気をおしみて、へらすべからず。気息を静かにして、あらくすべからず。言語をゆるやかにして、早くせず、言すくなくし、起居・行歩をも、しずかにすべし。・・・・」

食べ過ぎを諫め、何ごとも、過ごすこと(やりすぎ)はよくない、と説いています。

要は、老人は老人らしくして、無理をすることなく、気ままに、やりたきことを楽しみ、穏やかに暮らしなさいと。これって、至極当然のことですな。


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