田舎(3)
2020 07 20 (art20-0256)
田舎とは、『 (都会の人からみて) インタ―ネットが使えるのに地元の情報がネット上に発信されていない所』と定義できそうだと書き (art20-0253)、地元の情報が発信されないことに、それなりの事由があることを書きました (art20-0254)。もう少し、田舎について書きます。湯梨浜町で、情報がネット上に発信されている所があります。その一つは、“はわい温泉” の旅館です。地元民は、会合や冠婚葬祭関連で利用することはあっても、地元の旅館に宿泊することはまずありませんから、Webページの情報は、外の人へ向けられた情報です。鳥取県に観光旅行でお越しの際にはぜひ我が宿にお泊りください、我が宿にはかくかくしかじかの卓越したところがあります、と言った内容です。
他にもう一つ、比較的最近オープンした飲食店がWebページで自店の案内情報を発信しています。多くが系列店や姉妹店ですから、他所の系列店や姉妹店と併せて、情報を不特定多数の人へ発信しています。
都会の人が、Xという田舎へ旅行するとします。Xの情報を収集するためWebで検索します。検索でひっかかった情報に従って、旅行のプランを立てます。宿泊地は ××温泉の□□旅館、昼食は○○食事処、買い物は△△土産店、そして、観光巡りは ◎◎所と ☆☆地といった具合です。すべて、ネット上にある情報です。
旅館や飲食店、そして観光地所の Webページが日頃見ている Webページと同じようなデザインで洗練されている。[都会の業者が作成しています]。宿泊先の旅館のサービスが行き届き、楽しく過ごせた。[接客応対は教育されています]。食事処の雰囲気や料理の味付けが、日頃利用しているレストランと同じで、違和感なく美味しく食べた。[メニューや雰囲気を都会の人好みにしています]。店舗の内装や扱い商品に興味を引かれて、沢山の物品を買った。[都会の人の趣味や嗜好に合わせています]。と言った具合です。
旅行から帰った都会の人は、Xという田舎は素晴らしいところだったと口にします。田舎の人は皆、親切で、良くしてくれたと。
すこし極端かもしれませんが、観光客がスマホをみながら、観光地を巡る姿をよく目にするようになりましたので、あながち、見当違いとは言えません。Webページにのっているものだけを、観て、食べて、買って、そして宿る。
都会の人が田舎を訪ねて抱く、田舎の、そして、田舎の人の印象は、ある意味で、仕組まれて、つくるように仕向けられたものと言えます。それ故、多くの人が同じイメージをもつことになります。そして、その地の自然・風景と重なって、田舎の人のイメージが固まります。いわく、田舎の人は温かく、親切で、のんびりしている、と。
この田舎の人のイメージは、本当の気質でしょうか。そのイメージが商売上の応接行為から形成されたものであれば、本当であることに大きな疑問符が付きます。少なくとも、田舎の人の大多数は、客商売とは無縁に暮らしていますから。では、あるとすればの話ですが、旅行客が見抜けない、田舎の人の気質とはどのようなものでしょうか。