ヒメエグリバ
2021 9 13 (art21-0371)
周辺の畑ではとっくにトマトやミニトマトの栽培は終わっていますが、凡夫の畑ではミニトマトの栽培を続けています。いつまで行けるか試しています。まだ、花をつけては着果し、果実が育っています。しかし、少し赤く色付いた果実に異変が発生しました。果実の表面に微小な穴があき、穴の周辺が凹み、そこから腐っていきます。収穫直前だけに、ショックです。原因は、ストロー状の口器をもった虫が口吻をトマトに突き刺し、トマトの果汁を吸っているのだと推察できますが、その虫の特定に手間取りました。
まず、カメムシを疑いました。カメムシは野菜や果樹を吸汁します。これまで、幾種かのカメムシを畑で見つけました。ピーマンにいたホオズキカメムシ(art18-0047)。カキにいたチャバネアオカメムシ(art18-0066)。ウメの葉にいたキマダラカメムシ(art21-0344)。そして、どこにでもいる、クサギカメムシ(art21-0344)です。
これらは、昼間でも見られるカメムシです。ミニトマトの葉や茎を念入りに調べたのですが、カメムシは見あたりませんでした。また、被害果には、カメムシ独特の臭いもありませんでした。
次は、アザミウマです。吸汁直下の細胞が空洞化する為、微小な斑点ができると言われています。また、開花期に飛来した成虫が子房に産卵し、その部分が白ぶくれ症を引き起こすとも言われています。アザミウマは、体長が1~2mmぼどの小さな細長い虫ですから、注意しないと見落とします。
時間をかけて探したのですが、見つかりませんでした。また、症状からも、アザミウマによるものではなさそうです。
どんなに探してもそれらしい虫が見つからないので、恐らく、夜行性の虫であろうと、午後8時頃、懐中電灯をもって畑へ出かけました。ミニトマトの果実を照らすと、いました。蛾です。目が赤く光っていました。ヒメエグリバ(Oraesia emarginata、ヤガ科エグリバ亜科)の成虫です。トマトの果汁を吸っているらしく、近づいても逃げません。翌日、ヒメエグリバが止まっていた果実は、吸汁した箇所の周辺が空洞化し変色していました。
ヒメエグリバを含めて、吸汁する蛾はまとめて吸蛾類と呼ばれています。吸蛾類は、主に、ナシ、モモ、 リンゴ、ブドウ、スモモ、プルーンなどの果実を吸汁すると言われています。まさか、ミニトマトの果実まで加害するとは思いもしませんでした。
さて、どうしたものか。ヒメエグリバは、昼間はみかけませんから、夕方暗くなると畑に飛来し、朝方明るくなるとどこかへ飛び去るのでしょう。駆除方法の一つは、夜中に殺虫剤を撒くことですが、さすがに、これはやりたくありません。暗くなってから見回りして捕殺することはできますが、どこまでやればよいのか見当がつかず、これも気が進みません。また、防蛾灯(黄色灯)を設置して飛来を防止するのも一つの手ですが、これはちょっと大がかりで却下です。
代替案として、駆除はあきらめて、ヒメエグリバがミニトマトの果実に接触できないように、根菜用の保存ネット(赤色)で果実を覆うことにしました。
しばらく、様子をみていますが、効果がありそうです。これで、虫害に遭うことなく、熟したミニトマトが収穫できればよいのですが。はて、どうなることやら。