本『Marker』
2024 11 28 (art24-0704)
ロビン・クック(Robin Cook)の『Marker』を読み始めました。ロビン・クックは、1940年ニューヨーク生まれの作家で、主に、医療をテーマにした作品を書いています。ロビン・クックは医者で、A graduate of the Columbia University medical school, finished his postgraduate medical training at Harvard と紹介されています。
ロビン・クックは多くの作品を書いています。いくつか、ペーパーバック(ソフトカバー)版で読みました。まだ手をつけていない未整理の段ボール箱には、ロビン・クックの本が6冊が入っていました。いずれも、25年以上前に読んだ本です。当時、外資系の製薬会社の研究所に勤めていたこともあり、頻繁に海外出張をしていました。空港の売店に立ち寄り、購入しては機中で読んでいました。
ペーパーバック版はいくつかの出版社からでていますが、多くはペンギングループなどの大手にとりこまれています。手元にある6冊のうち、4冊がPan Books (Macmillan Group)、1冊がBerkley Books(Penguin Group)、残りの一冊はPutnam’s Sons Books (Penguin Group)です。
『Marker』は、Putnam’s Sons (Penguin Group)から2005年に出版されたハードカバー本で、528ページあります。ペーパーバック本と異なり持ち運びに不便ですから、いつの日か、読もうと買い置きした本のようです。
長編なので、まだ、130ページほどしか読んでいませんが、面白くなってきました。主人公の監察医Laurieの母親が乳がんに罹り、乳房切除術を受ける。母親は、BRAC1遺伝子の病的変異をもっていることがわかり、Laurieも50%の確率で受け継いでいるかもしれない。Laurieは同僚のJackとの結婚と子供を望んでいる。そんな中、Manhattan General Hospitalで、不審死が発生する。しかも、4人も。監察医として、死因の特定に興味をもち、探索を始める。これから、どうなっていくのかと、大いにそそられます。娯楽小説の醍醐味です。
まだ、1/4しか読んでいませんが、『Marker』は、乳がん・卵巣がんの遺伝子検査遺伝子のBRAC1の病的変異を指すのでしょうか。BRAC1はDNAの恒常性の維持機能に関わる遺伝子の一つです。まあ、全部読めば、分かることですが。
木工作業場の冬支度
2024 11 25 (art24-0703)
昨日の相撲九州場所の千秋楽、優勝を争そう大関同士の相星決戦で、琴桜が豊昇龍を制して優勝しました。NHKの県ニュースで、琴桜は鳥取県関係力士の一人として取り上げらていますから、よく知ることになります。琴桜は千葉県松戸市出身ですが、倉吉市出身の横綱であった琴桜の孫ということで、県の関係力士になっています。県出身の力士といえば、倉吉市出身の十両2枚目の伯桜鵬がいます。今場所、伯桜鵬は10勝5敗でしたから、来場所、再入幕するでしょう?
さて、引っ越し荷物の片づけがどうにか終わり、長い間中断していた木工を再開できます。
これから寒くなりますから、作業部屋の冬支度をしました。
作業部屋は、もとは古い家屋です。壁は土壁です。土壁には断熱性はありません。断熱材として使われているグラスウールの1/10程度だと言われています。しかし、土壁は調温性に優れています。熱気や冷気を逃がしにくいので、外気の温度が急激に変化しても、室内の温度の変化はゆっくりです。また、調湿性もすぐれています。
しかし、そうは言っても、夜間、外気温が下がると、翌朝の室内はすっかり冷えています。外よりも、作業部屋の方が寒く感じることもあります。
作業部屋の室温を上げるのに、熱源は欠かせません。大型の石油ストーブを持ち込みます。ストーブの天板に水をいれた薬缶を載せます。沸騰して室内が蒸気で潤います。
作業部屋の東側は板戸です。板戸は古くなり亀裂がはいっています。そこから空気が出入りします。空気の出入りを防ぐため、板戸が取り付けてある柱の内側と外側にビニールシートを取り付けます。こうすると、空気の層ができて、空気の出入りを防ぐだけでなく、断熱効果も期待できます。
外気温が0℃以下になっても、石油ストーブを全開にすれば作業部屋の室温は10℃以下にはなりません。10℃であれば、なんとか作業ができます。しかし、長くは続きません。もう少し室温を上げたいところです。
問題は床板にあります。とても薄い板です。家屋としは、床板の上に畳が敷かれていますから、空気の層ができて、ある程度、断熱効果があったのでしょう。今は、畳をはいで作業場として使っていますから、冷気が薄い床板を伝わってきます。これをどうしたものか、と毎年思っていますが、まだ、そのままです。
本『養生訓』
2024 11 21 (art24-0702)
深沢七郎の『夢辞典』のオラガボケ(インキョ目ネハン科)には、老人は、面倒なことはしないで、自分勝手に暮らすこと、のんきにその日その日を過ごすこと、とあります(art24-0697)。まったく同感です。また、やりたいことがあれば、誰に気がねすることなく、やればよいのです。
ところで、『養生訓』を書いた貝原益軒は、この辺りをどう考えていたのでしょうか。貝原益軒(1630-1714)は江戸時代の草本学者(薬学者)です。『養生訓』は健康と健康法の指南書で、益軒83歳の時の著作です。85歳で亡くなっていますから超晩年の著書で、自分の体験に基づいて書きまとめたものと言えます。当時、85歳まで生きた人はごく少数でしょうから、この指南書は説得力があります。手元にある蔵書(徳間書店、1968)を開いてみました。
『養生訓』の第八巻のタイトルは、「養老」で、老人の過ごし方を説いています。
「年老いては、わが心に楽の外、万端心にさしはさむべからず。時にしたがひ、自楽しむべし。自楽しむは、世俗の楽に非ず。只、心にもとよりある楽を楽しみ、胸中に一物一事のわずらいなく、天地、四時、山川の好景、 草木 の欣栄、是亦、楽しむべし」
やはり、老人は老人らしく楽しみなさいと説いています。その楽しみは、自分の心にある自分だけの楽しみでよかろうと。
また、老人になれば、時間の進みが早くなるので、一日を精一杯楽しみなさいと説いています。
「老後は、わかき時より、月日の早き事、十ばいなれば、一日を十日とし、十日を百日とし、一月を一年とし、喜楽して、あだに日をくらすべからず。つねに時・日をおしむべし。心しずかに、従容として余日を楽しみ、いかりなく慾すくなくして、残軀をやしなうべし。老後一日も楽しまずして、空しく過ごすはおしむべし」
そして、なにごとも、穏やかにゆっくり行い、気力をたもつべしと説いています。
「老人の保養は、常に元気をおしみて、へらすべからず。気息を静かにして、あらくすべからず。言語をゆるやかにして、早くせず、言すくなくし、起居・行歩をも、しずかにすべし。・・・・」
食べ過ぎを諫め、何ごとも、過ごすこと(やりすぎ)はよくない、と説いています。
要は、老人は老人らしくして、無理をすることなく、気ままに、やりたきことを楽しみ、穏やかに暮らしなさいと。これって、至極当然のことですな。
畑の様子
2024 11 18 (art24-0701)
干し柿作りがほぼ終わりました。3回に分けて作り、今は、3回目の柿を軒下にぶら下げて、乾くの待っています。
この時期、畑での作業はほとんどありませんが、毎日の見廻りは、散歩がてら、行っています。
野菜畑には、2本の畝にダイコンが育っています。今のところ順調です。
畑の東端に、キンカンの木が一本植わっています。今年も、沢山の果実をつけています。まだ、色づいていません。
ミカン畑の温州ミカンの果実が色づいてきました。今年も、数は少ないのですが、大きな果実になりました。とても温州ミカンにはみえません。通りすがりの人が見ると、夏みかんの実が生っているな、と思うでしょう。
畑の奥の大実キンカンの木には、沢山の果実が付いています。すこし、色づいてきました。昨年は、あまりに酸っぱくて、生食できませんでした。今年は、すこしでも甘味がのるように、できるだけそのままにしておきます。
今年初めてレモンの木に、果実が一個つきました。果実は順調に育ち、大きくなっています。
クワイ床のクワイは枯れてきました。来月末の塊茎の掘起しまで、このままにしておきます。
本『人生航路』
2024 11 14 (art24-0700)
書棚に眠っている古い本があります。その一つ、クローニンの『人生航路』(竹内道之助訳、三笠書房、1961)。クローニン(A. J. Cronin)はスコットランドの作家です。本の原題はGrand Canaryで1933年の作品です。邦題として、『人生航路』の外に、『大カナリヤ航路』と付けられています。上下2冊-本です。
どんな経緯で、書棚に並べられたのか分かりませんが、読んでみました。どうも、一度も読んだことのない本のようです。
バナナ船といわれる貨物汽船(オーリオラ丸)に乗り合わせた8人の船客が、イギリスのリバプールからカナリア諸島への航海中に、関係性を築いていきます。主人公はハーヴァー・リースで、曰く付きの医者。2人の有閑婦人(メリー・フィールディングとエリサ・ベーナム)と付き人のデーンズ・ディプディン。宣教師兄妹(ロバート・トランターとスーザン・トランター)。プラトンを愛読する元ボクシング選手のジミー・コーコラン。淫売宿の太っちょのばあさんエライザ・ヘミングウェイ。
医者のハーヴァーとメリーの間に生まれた恋心。宣教師のロバートとエリザの肉欲的な恋愛、そして、ロバートの妹スーザンのハーヴァーへの一方向の恋情を軸に、話は、サロン・ドラマ風に展開します。これに、一癖も二癖もある人物、コーコランやヘミングウェイばあさんが絡んで、てんこ盛りのメロドラマです。ただ、ハーヴァーとメリーの恋は、プラトニック的で、ハラハラさせます。メリーが黄熱病に感染し、危篤状態になります。医者としてのハーヴァーの献身的な治療行為の結末はいかに・・・、と、よくある話と分かっていても、一気に読ませてくれました。
カナリア諸島は、常春の島と呼ばれていますが、この物語でも、いろいろな花が随所にでてきます。物語の終わりにも。
イギリスの自分の家に帰ったハーヴァーは、思い出になってしまったメリーのことを思っています。そこに、誰かが訪ねて来た気配を感じます。物音に続いて、芳香が漂ってきます。物語は「それは、フリージアの花の芳香だった・・・」、で終わります。
干し柿
2024 11 11 (art24-0699)
今年も、干し柿を作りました。柿は、渋柿品種の平核無です。
今年は、カメムシが大量に発生し、果実を吸汁したようです。収穫した果実には吸汁された痕が、5-10ヶ所、なかには、20ヶ所もありました。吸汁箇所は表面が少し窪んでいますから判別できます。また、皮をむいてみると、黒い斑点の集合が現れました。果肉はすこしスポンジ状になっています。
幼果期に吸汁された果実は落果することがあると聞いていますが、幸いなことに、そうした果実は少しでした。果実がある程度大きくなってから吸汁されたのでしょう。しかし、無傷の果実は100個に1個あるかないかでしたから、ぼぼ全部の果実がカメムシに突かれたと言えます。
家内と2人で、収穫した果実の皮を剥きました。包丁を動かすと、黒い斑点部が次から次と現れます。やる気が失せます。剥いた果実を吊るして数日、柿は乾燥して縮んできますが、黒い斑点部はへこみませんから、そこだけが飛び出ているように見えます。皮膚が傷ついたとき、数日すると瘡蓋ができて、ちょっと盛り上がって見えますが、そんな感じです。瘡蓋のように飛び出た斑点部が果実のあちこちにあるのですから、ちょっとグロテスクです。ただし、 乾燥が進み、全体がしわしわになり黒ずんでくると、そうした斑点部は目立たなくなります。また、味の方は問題ありませんから、そのままにしておいてもよいのですが、皮を剥くときに、少しこそぎ落としました。
3回に分けて果実を収穫し、皮を剥いて、家屋の南向きの軒下に吊るしました。全部で500個程です。
発生したカメムシは、チャバネアオカメムシとクサギカメムシです。これらは、成虫で越冬します。前者は落葉下、後者は樹皮の隙間で。今年柿に被害をもたらしたカメムシが柿の木の近辺で越冬していれば、来年の春にはごそごそと這い出てきます。そうなると、大変なことになるのでしょうかな。困ったものです。
本『大人のための偉人伝』
2024 11 7 (art24-0698)
トランプ氏が大統領選を制し、アメリカ大統領に返り咲きました。TV画面から、ハリス氏に口先だけの嘘っぽさを感じていましたので、どちらかと言えば、トランプ氏の方を推していました。
さて、本題です。
書棚の古い本を整理していると、”あれ、こんな本持っていたっけ” と、まったく記憶のない本が出てきます。書棚には、一度も読まれることなく、隙間を埋めているだけの本があります。
木原武一の本『大人のための偉人伝』(新潮選書、1989)を手に取って、読んでみました。まったく記憶にありませんから、まさに、書棚の隙間本でした。30数年前、どんなつもりで購入したのか、それすらも記憶にありません。
この本で取り上げている偉人は、シュワイツァー、ヘレン・ケラー、リンカーン、ガンジー、ナイチンゲール、キュリー夫人、エジソン、カーネギー、野口英世、二宮尊徳です。誰でもが知っている偉人です。子供の時分、それらの偉人の業績については、何かと聞かされたり、本で読んだりしてきました。しかし、実際のところ、どのような生涯を過ごし、どのような人物であったのか、そして、どのような経緯で偉人になりえたのか、については知らないことが多かった、と、この本を読むことで気づかされました。
著者は偉人に共通する特徴として以下の3つを挙げています。1、人のために尽くすことに無上の幸福を感ずること。2、理想を持ち、実践すること。3,同時代の人々に理解され、賞讃されること。
偉人と言われている人は、我々凡人とは別世界の人であるかのように思われていますが、この特徴をみると、そうでもないことがわかります。これらの特徴はどれも特殊なことではなく、大なり小なり、誰でもがもっているようなことです。そうであれば、程度の差こそあれ、誰でもが偉人たりえることになります。万人にとっての偉人にはなれなくても、特定の人にとっての偉人にはなれそうです。実際、そうした人はいます。凡夫の周りにもいます。
ただ、そうした人の伝記があるとして、それを読んだ人が感銘を受けるかと言えば、おそらく否でしょう。偉人が偉人たるところは、伝記を読んだ人が、感銘を受けるー自分の考え方や生き方に大きな変化をもたらすような感動を受けるーことにありそうです。そうだとすれば、伝記の良し悪しに依存するとも言えそうです。
本『夢辞典』
2024 11 4 (art24-0697)
横浜から届いた本を納める場所をつくろうと、書棚の本を整理していると、一冊の本に目が留まりました。深沢七郎の「夢辞典」(文芸春秋、1987)です。昭和62年の第二刷版ですから、20代半ばに手に入れた本のようですが、すっかり忘れていました。整理の手を休めて、読みました。
深沢七郎は、姥捨て山をテーマにした『楢山節考』を書いた人です。『楢山節考』は二度映画化されています。緒形拳が長男役を演じた、二度目の映画をTV放映で観た記憶があります。重い映画でした。
『夢辞典』は、本の ”あとがき” にもあるように、70歳前後に週刊誌に書いた随筆をまとめたものです。内容から、70歳前から72歳までに書き記した文章と読み取れます。筆者は、1914年生まれで、1987年73歳で亡くなっていますから、72歳は亡くなる前年です。文中にも記述されていますが、筆者は心臓病を長いこと患っていたようです。
随筆は34の見出しで構成されていますが、老いついての項目は一つだけです。それは、オラガボケ(インキョ目ネハン科)です。
ところで、この随筆の見出しタイトルの付け方がちょっと変わっているので、ついつい読んでしまいます。例えば、カミシンジン(シュウカン目ケイシキ科)、キセカエニンギョウ(ケッコン目ヒロエン科)、シアワセサソイ(シソウ目シュウキョウ科)、ゼイタクビョウ(リュウコウ目ヨクボウ科)、テレビホウドウカン(マスコミ目テレビ科)、プレゼント<オシツケ目マトハズレ科>等です。( )内の**目**科から内容を思い描けます。
さて、オラガボケ(インキョ目ネハン科)の書き出しは、”70歳をすぎて、まもなく71歳になろうとしている”、です。そして、老人であると自信がもてるようになったので、”老人だから、面倒なことはしなくてもいいだろう。自分勝手に暮らしてもいいだろうと私はきめてしまった”、と続きます。そして、隠居生活に入って、シャバと一線を画して、のんきなその日、その日を過ごしている。畑で野菜を作り、庭で草をむしり、盆栽に手を入れて、ギターを弾いて暮らしている。
隠居、心地よい響きなのですが、今日、隠居するのはなかなか難しそうです。
早くに祖父を無くした祖母は、1人で子供達を育て上げると、早々に家の一切を父と母にまかせて、身を引きました。隠居です。凡夫が子供の頃、祖母は、毎日のように、知り合いの家へ出かけていました。そこでは、数人の祖母と同年代と思しきおば(あ)さんが、投網などの漁網を編みながら雑談していました。当時は、母屋の端や別棟に、隠居部屋が設けられていました。そこで、隠居人は、母屋の忙しさに気兼ねすることなく、一日を気ままに過ごすことができたようです。
ところで、編針は竹製で、何度となく、編針の作製を頼まれました。網目の大きさに合わせて編針を変えるので、いろいろなサイズの編針を作りました。ちょっとした小遣い稼ぎになりました。
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