生成AIを利用したウェブ検索 (8)
Bard-AI、Perprexity-AI、Bing-AIによる検索
2024 2 29 (art24-0628)
生成AIを利用したウェブ検索エンジン(Bard-AI、Perprexity-AI、Bing-AI)に、田山花袋の紀行文「東郷湖の一夜」のあらすじを問うてみました。「東郷湖の一夜」は、田山花袋の「花袋紀行集 第3輯」(博文堂、1922-23)に収められています。この紀行文を読むには、国立国会図書館の蔵書(PDFファイル)にアクセスする必要があります。ウェブ上には、この紀行文の内容を取り扱ったページは見あたりません。従って、ウェブ検索しても、あらすじに関する情報を得ることはできません。
質問欄に『田山花袋の「東郷湖の一夜」 あらすじ』と入力しました。
Bard-AIの回答
田山花袋の「東郷湖の一夜」は、1908年に発表された小説です。自然主義文学の代表作の一つとして知られています。
あらすじ
主人公の田山花袋は、旅先で偶然出会った女性と一夜を共にする。しかし、翌朝、女性は姿を消してしまう。花袋は、女性への想いを抱きながら、旅を続ける。
詳細
花袋は、鳥取県倉吉市にある東郷湖を訪れます。
湖畔で、花袋は一人の女性と出会います。
女性は、花袋に自分の身の上を語ります。
花袋と女性は、一夜を共にします。
翌朝、女性は姿を消します。
花袋は、女性への想いを抱きながら、旅を続けます。
Perplexity-AIの回答
田山花袋の「東郷湖の一夜」は、日本の文豪である田山花袋によって書かれた小説です。この作品は、東郷湖畔で起こる一夜の出来事を描いています。具体的なあらすじについては、検索結果から直接情報を得ることができませんでした。田山花袋の作品は日本文学の重要な一環として位置づけられており、興味を持たれた場合は、図書館や書店で該当作品を入手し、直接読むことをお勧めします。
(引用元情報は無し)
Bing-AIの回答
田山花袋(たやま かたい)は、日本の小説家であり、自然主義文学の代表的な作家の一人です。彼の作品「東郷湖の一夜」は、美しい自然の風景と人々の心情を描いています。
この物語は、東郷湖畔の小さな宿で繰り広げられます。主人公は、湖畔の美しさに魅了され、一夜を過ごすことになります。彼は湖の静けさと星空の美しさに感動し、自然と一体となる瞬間を体験します。
物語は、主人公が湖畔で出会った人々との交流や、彼らの心の葛藤を描いています。愛、別れ、孤独、希望など、さまざまな感情が交錯する一夜が、美しい風景とともに綴られています。
「東郷湖の一夜」は、田山花袋の作品の中でも、自然の美と人々の心の葛藤を繊細に描いた作品として知られています(1)(2)。
1.ウィキペディア 田山花袋 (サイトへ)
2.Rekisiru 田山花袋とはどんな人?代表作は?(サイトへ、https://rekisiru.com/11518)
Bard-AI とPerplexity-AIには、引用元に関する情報がありませんが、Bing-AIには、2つの引用元が示されています。一つは、ウィキペディアの田山花袋の項目です。もう一つはRekisiru(レキシル)サイトのページです。このサイトは、歴史に関する情報を解説し、歴史について語り合う場のようですが、指定のページには田山花袋の生い立ちや作風などが記述されていますが、紀行文「東郷湖の一夜」に関しては一切出てきません。
Bard-AI、Perplexity-AI、Bing-AI、が回答した「東郷湖の一夜」のあらすじ、いずれも「東郷湖の一夜」の内容に立ち入ることなく、AIが勝手に創作しものと言わざるを得ません。質問文のなかの東郷湖と一夜の言葉から創作したのでしょう。そのため、あらすじは、あたりさわりのない文章になっています。紀行文の後半部のM君との会話には、まったく触れていません。さすがに、生成AIといえども、東郷湖と一夜だけの手がかりでは、伯耆の観光地談義には踏み込めないのでしょう。なお、「東郷湖の一夜」の本文のコピーを、前々回のブログに載せています(サイトへ)。
それにしても、Bard-AIによる回答のあらすじはかなり具体的です。旅の途中、湖畔で出会った女性から身の上話を聞かされ、一夜を共にすると言ったもので、ちょっとしたドラマです。湖と一夜の2つの言葉から話を作るとなると、そうなりますかな。ただ、情事?の舞台が、湖畔の”東郷温泉”の宿であることを添えていないのは手抜かりで、そうすればドラマ性に一味加わったことでしょう。
3つの生成AIの回答のなかでは、Perplexity-AIのものがよさそうです。『この作品は、東郷湖畔で起こる一夜の出来事を描いています。具体的なあらすじについては、検索結果から直接情報を得ることができませんでした』と白状?しています。
いずれにして、生成AIを利用したウェブ検索というものは、ウェブ上に当該の情報がなくても、AIが勝手に作った文章が、回答として返されることを知っておかなければなりません。
生成AIによる文章の作成は、言葉を確率的に選択して、言葉と言葉を繋げているだけで、言葉や文章を理解している訳はありませんから、真偽を問うことなく出来上がります。そのため、回答文章は、あたりさわりのないありふれたものとなります。見慣れた平滑な文章で、抵抗感が少ない言葉使い故、安易に受け入れてしまいます。しかし、”よくできた” 文章であることと内容の真偽は別ものです。
生成AIを利用したウェブ検索の利用者は、回答の真偽を、引用元にあたって確認する必要があります。しかし、これは、難儀なことです。いちいち引用元をあたるようでは、これまでのGoogleやYahoo検索と大差ありません。むしろ、真偽の確認だけであれば、こちらの検索のほうが、詳細なヒットリストを返してきますから、やりやすいかもしれません。
しかし、引用元資料に目を通して要点をまとめる作業は、資料が膨大になれば、大事になります。やはり、ここは、生成AIを利用すべきです。そのためには生成AIを利用したウェブ検索の回答の信憑性を高める必要があります。では、どうすればよいのでしょうか。たぶん、次回へ続く。
生成AIを利用したウェブ検索 (7)
Bard AI、Perprexity AI、Bing AIによる検索
2024 2 26 (art24-0627)
前回のブログに、田山花袋の「東郷湖の一夜」の全文を、国会図書館蔵書のデジタル版からコピーし転載しました。この紀行文は、大正12年(1922)に博文堂から出版された「花袋紀行集 第3輯」に収められています。これを基に、生成AIを利用したウェブ検索エンジンをもうすこし検証してみます。
取り上げるAI検索エンジンは、Bard、Perprexity、Bingです。
『田山花袋の「東郷湖の一夜」ってどんな小説』と質問欄に入力しました。
Bard AIの回答
田山花袋の『東郷湖の一夜』は、1908年に発表された小説です。自然主義文学の代表作の一つとして知られています。
あらすじ
主人公の田山花袋は、旅先で偶然出会った女性と一夜を共にする。しかし、翌朝、女性は姿を消してしまう。花袋は、女性への想いを抱きながら、旅を続ける。
作品の特徴
自然主義文学の代表作として知られています。
主人公の心情を繊細に描写しています。
東郷湖の風景が美しい文章で描かれています。
作品の見どころ
主人公と女性の出会いと別れ
東郷湖の美しい風景
自然主義文学の特徴
作品をより深く理解するために
自然主義文学の特徴について知っておくと、作品をより深く理解することができます。東郷湖を訪れたことがあると、作品のイメージがより鮮明になります。
Perplexity AIの回答
田山花袋の「東郷湖の一夜」は、日本の小説家である田山花袋によって書かれた小説です。この作品は、明治時代に書かれた自然主義文学の代表作の一つとされています。物語は、東郷湖畔で起こる様々な人間模様や心情を描いており、当時の社会や人間関係をリアルに描写しています(5)。
5.山陰土産 島崎藤村 青空文庫収録 (リンクへ)
Bing AIの回答
田山花袋(たやま かたい)は、日本の小説家であり、自然主義派の作家として知られています。彼の作品はリアリズムと感情豊かな描写で読者を引き込みます。
「東郷湖の一夜」は、彼の紀行文集の一部であり、美しい風景と人々の心情を描いています。この作品は、東郷湖(または鶴の湖とも呼ばれる)の一夜の出来事を綴ったものです。東郷湖は、鳥取県にある美しい湖で、その周囲には自然の美しさが広がっています(1)。
田山花袋は、自然の風景や人々の生活を繊細に描写し、読者に感銘を与える作家として高く評価されています。彼の作品は、日本の文学史において重要な位置を占めています。
もしご興味があれば、彼の他の作品も読んでみてください。彼の筆致は、日本の風土や人々の心に深く響くことでしょう。
1.ウィキペディア 東郷池 (リンクへ)
これらの回答はどこからでてきたものでしょうか。
Bard AIには引用元がありませんから、検分できませんが、他の2つには、引用元のリンク先アドレスが表示されています。しかし、Perplexity AIのそれは、島崎藤村の「山陰土産」の文章だけが載っているページで、Bing AIのそれは、ウィキペディアの東郷池の解説ページです。いずれも、田山花袋の紀行文「東郷湖の一夜」には関係のないリンク先です。
引用元として表示されていない、「東郷湖の一夜」に関する情報がウェブ上にあるのでしょうか。
「東郷湖の一夜」を、GoogleとYahooで検索すると、鳥取県立図書館のレファレンス共同データーベースの記事と国立国会図書館のみなサーチのページがヒットします。
前者にはこう書かれています。
◎田山花袋の作品に「東郷湖の一夜」という紀行文がある。次の2冊に収録されているようだが、当館未所蔵。
『水郷めぐり』(田山花袋著, 博文館, 大正9)
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/10459352.html
『花袋紀行集 第3輯』(田山花袋著, 博文館, 大正12)
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/10466491.html
リンク先アドレスをクリックすると、国立情報学研究所の情報サービス、Webcat Plusが開き、本の情報ページが出てきます。前者は、History of Greece vol.1~vol.12、後者は、Global competition : the keiretsu system crumblesです。いずれも、「東郷湖の一夜」とは関係がなさそうです。おそらく、リンク先アドレスの誤記でしょう。
後者の国立国会図書館の方には、蔵書のなかに花袋紀行集 第3輯なる本があることが示されています。しかし、そのページに「東郷湖の一夜」の文章が載っている訳はありませんから、本文を読むには、そこからリンク先ページへアクセスする必要がありあます。
GoogleやYahooのキーワード検索で他にヒットするものは見あたりませんから、田山花袋の紀行文「東郷湖の一夜」に関する情報、それを話題にしている情報も含めて、ウェブ上には無さそうです。(そのうち、凡夫のブログが、検索でヒットするようになるでしょう)
とすれば、ここで得られた回答文は何なのでしょうか。
おそらく、紀行文「東郷湖の一夜」の内容とは無関係に、質問欄に入力した文中の言葉、田山花袋、東郷湖、一夜、小説、から生成AIが作り上げた文章と考えられます。自然主義、風景、心情、生活、人間模様などの言葉が多用され、具体的な事柄の記述を欠いた、あたりさわりのない文章になっています。
Bard AI、Perprexity AI、Bing AIの回答、いずれも、生成AIが作り上げた、根拠のない、でたらめな回答と言えそうです。元情報がないのに、勝手に文章を作成して回答するとは、困ったものです。暴走です。この点を、さらに、試してみましょう。
次へ続く。
bard 検索(生成AIを利用したウェブ検索)(6)
Perprexity AI とBing AIによる検索
2024 2 22 (art24-0626)
bard検索の回答の真偽は、同一問文による再検索で、ある程度予測できそうですが、最終的には、回答の出典元・引用元を吟味せざるを得ません。残念ながら、bard検索では出典元・引用元が詳しく明示されていません。
Bard検索に代わるものとして、Bing AIがあります。これは、Microsoftの検索サイトBingに組み込まれたChatGPTであり、引用元を明示してそこから生成AIを使って文章を作成する仕組みになっています。他にはPerplexity AIがあります。これは、サンフランシスコの小さな会社が開発している対話型AI検索エンジンで、引用元の提示を売りにしています。どの程度のものか、試してみました。
まず、Perplexity AIです。
「東郷池」と入力すると、以下の回答が、引用元付きで出力されました。
東郷池は鳥取県の中心部に位置する約10キロメーターの汽水湖です。名称は、鉢伏山から見ると鶴が羽ばたける様子のような形状から「鶴の湖」とも呼ばれています(1、2)。 東郷池は橋津川を通じて日本海に接続されており、淡水と海水が混合されているため、特徴的な汽水湖です(3) また、池の中央付近の湖底からは温泉が湧き出ており、周辺にははわい温泉と東郷温泉が存在します(2)。
東郷池は、過去には大きな内湾の海中であったことが考察されており、約七万年前から徐々に陸地化していったとされています(3)。現在は、舎人川、東郷川、羽衣石川、埴見川などから水が供給されており、周辺には野鳥、魚、昆虫など多くの生物が住む空気の良い水辺が展開しています(3、4)。
東郷池は、美しい景色を楽しむことができるほか、温泉施設も多く、露天風呂から絶景の東郷池を眺めることが可能です(5)。また、四ツ手網でシジミやワカサギ、フナなどを獲得する機会も提供しています(2、5)。
引用元
1.とっとり旅 東郷池 (サイトへ)
2.ウイキペディア 東郷池 (サイトへ)
3.鳥取県 東郷池の成り立ち (サイトへ)
4.愛らぶ東郷池 (サイトへ)
5.じゃらん 東郷湖 (サイトへ)
次に「東郷池が出てくる小説」の回答です。
東郷池が出てくる小説の題材は、提供された結果に基づくと、「東郷池の鯉」(1980年)という作品があります。この小説は田中千禾夫によって執筆されたもので、東郷池が舞台になっています(2)。
また、鳥取県に関連する文学作品の一覧には、鳥取県内で登場する地名が含まれているため、他の作品でも東郷池が出てくる可能性があります(3)。
引用元
2.今日も、ようこそ (サイトへ)
3.鳥取県立図書館 鳥取県が登場する文学作品 (サイトへ)
いやはや、田中千禾夫の「東郷池の鯉」を回答しています。引用元が、凡夫のブログ「今日も、ようこそ」です。田中千禾夫は実在の作家ですが、「東郷池の鯉」なる作品はありません。ブログでは、bard検索の嘘回答の例示として取り上げました。一度、ウェブに掲載されると、内容の真偽を問わず、検索網に掬い取られることが分かります。
次は、Bing AIです。
「東郷池」と検索すると、以下の文章が、引用元付きで回答されました。
東郷池(とうごういけ)は、鳥取県東伯郡湯梨浜町にある周囲約12キロメートルの汽水湖で、別名東郷湖とも呼ばれています(1)。この美しい湖は、日本海とつながっており、長さ約2キロメートルの橋津川を通じて海に繋がっています。湖の中央には温泉が湧くという珍しい特徴があり、湖畔にははわい温泉と東郷温泉があります。冬には湖から湯気が立ち上る神秘的な風景も楽しめることがあります。
また、東郷池周辺には伯耆一宮の倭文神社や羽衣石城跡、東郷湖羽合臨海公園、鉢伏山、中国庭園燕趙園などがあります。湯梨浜町宮内の出雲山展望台や同町白石の鉢伏山展望台から、池全体を一望することができます(2)。
詳細情報
1.ウィキペディア 東郷池 (サイトへ)
2.とっとり旅 東郷池 (サイトへ)
「東郷池が出てくる小説」の回答です。
「東郷池」や「東郷湖」の名前が登場する小説はいくつかあります。以下にいくつかの作品を紹介します。
「反り棟屋根」(榧野尚著)
この小説は、日本の歴史的な風景や文化を描いた作品で、東郷湖が登場します(1)。
「東郷湖の一夜」(田山花袋著)
この紀行文は、東郷湖を舞台にした作品で、美しい風景や人々の物語が綴られています(2)。
これらの作品は、東郷湖や東郷池の風景や歴史的な背景を楽しむのに適しています。お好みのジャンルに合った作品をお選びください。
詳細情報
1.私のブック・レポート 【新刊紹介】榧野尚先生の『反り棟屋根』(サイトへ)
2.レファレンス共同データベース 「東郷池」と「東郷湖」の両方の呼び方があるが、「東郷湖」の表記はいつごろから出始めたか?(サイトへ)
田山花袋の「東郷湖の一夜」について、真偽を調べてみました。引用元2のなかに、『花袋紀行集 第3輯』(博文館, 大正12)』に、東郷池(東郷湖)が出てくるとの記述がありましたので、早速、国会図書館の蔵書に当たってみました。幸い、インターネットで読めるようになっていました。確かに、田山花袋 「花袋紀行集第3輯」(博文堂、大正11-12)の997-1002ページに、紀行文「東郷湖の一夜」があり、文中に、東郷池がでてきます。以下は国会図書館の蔵書のコピーです。
次回へ続く。
bard 検索(生成AIを利用したウェブ検索)(5)
2024 2 19 (art24-0625)
bard検索で出力された回答の真偽を確かめにはどうすればよいのでしょうか。一つは、出典情報を検分することです。しかし、出典リストがほとんど載っていないbard検索の回答には、この方法は適応できません。では、他の方法があるのでしょうか。
bard検索を、日を改めてもう一度行ってみました。前回と同じ問「東郷池が出てくる小説」を入力すると、以下の回答が出力されました。
東郷池が登場する小説としては、以下の作品が挙げられます。
恩田陸の『蜜蜂と遠雷』
阿部和重『ピエタ』
青山七恵『平坦な道』
村上春樹『騎士団長殺し』
これらの小説は、いずれも東郷池を舞台に、様々な人間ドラマを描いています。東郷池は、小説の中で単なる風景としてではなく、登場人物たちの心の拠り所として重要な役割を果たしています。
以下では、これらの小説についてもう少し詳しく紹介します。
恩田陸『蜜蜂と遠雷』
この小説は、国際ピアノコンクールという極限の舞台で、4人の若きピアニストたちが繰り広げる熱戦と葛藤を描いた作品です。主人公の1人である風間塵は、幼い頃に東郷池で過ごした経験を持つ天才ピアニストです。東郷池は、塵にとって心の安らぎ場所であり、音楽と向き合うための大切な場所となっています。
阿部和重『ピエタ』
この小説は、東日本大震災の被災地となった町を舞台に、一人の女性と彼女の家族の再生を描いた作品です。主人公の女性は、震災で夫と息子を失い、深い悲しみに包まれます。しかし、東郷池で出会った人々との交流を通じて、少しずつ希望を取り戻していく。東郷池は、この小説の中で、死と再生の象徴として描かれています。
青山七恵『平坦な道』
この小説は、地方都市を舞台に、殺人事件の真相を探る女性教師の姿を描いた作品です。主人公の女性教師は、事件の被害者と東郷池で出会ったことがあり、事件の謎解きを進める中で、東郷池に秘められた秘密にたどり着きます。東郷池は、この小説の中で、過去と現在を繋ぐ重要な場所として描かれています。
村上春樹『騎士団長殺し』
この小説は、画家である主人公が、失踪した騎士団長を探す旅に出る物語です。主人公は旅の中で、様々な人物と出会い、東郷池を含む様々な場所を訪れます。東郷池は、この小説の中で、現実と夢が交錯する幻想的な場所として描かれています。
これらの小説は、いずれも東郷池を舞台に、人間の心の奥深さを描いた作品です。東郷池は、小説の中で単なる風景としてではなく、登場人物たちの心の拠り所として重要な役割を果たしています。
4つの小説が、あたりさわりのない紹介文付きで回答されました。しかし、前回の検索で回答された小説と同じものはありません。今回の検索の回答にも、出典リストが付いていないので、出処がわかりません。恩田陸の「蜂蜜と遠雷」と村上春樹の「騎士団長殺し」は実在の小説ですが、他の2つは架空の小説です。いずれにも東郷池は出てきません。それにしても、生成AIによる紹介文、あきれる程ありきたりです。
それはさておき、前回と今回の回答の違いは何を意味しているのでしょうか。おそらく、東郷池と関連づけられた小説は、とあるページ上にたまたま登載されていただけの関係性によるものでしょう。そうした言わば無実の一致は、たまたまであるが故に、検索対象の文章データの刻々の変化の中では遷移しやすく、検索の網を素通りしてしまうことになる。その結果として、あやしげな別の関連情報が浮上し検索の網に掬い取られることになるのでしょう。
そうした、たまたまの一致に起因した偽の回答は再現されにくいことになります。そうであれば、検索の反復は回答の真偽を吟味することに使えそうです。
真の回答の場合はどうなるのか、一つ試してみました。
bard検索に、「鳥取砂丘が出てくる小説」と入力すると、以下の回答が出力されました。
鳥取砂丘は、その雄大なスケールと独特な景観から、多くの小説の舞台として登場しています。以下に、鳥取砂丘が出てくる小説をいくつか紹介します。
阿刀田高『壜詰の恋』
鳥取砂丘を舞台に、男女の恋愛を描いた作品。砂丘の広大な風景と、そこに生きる人々の姿が印象的に描かれている。
司馬遼太郎『風塵抄』
江戸時代の鳥取藩を舞台に、歴史上の人物たちの活躍を描いた作品。鳥取砂丘は、物語の重要な舞台として登場する。
遠藤周作『夫婦の一日』
鳥取砂丘を舞台に、夫婦の絆を描いた作品。砂丘の風景を通して、夫婦の心の動きが繊細に表現されている。
これらの作品は、鳥取砂丘の様々な側面を描き出しています。鳥取砂丘の自然の美しさ、歴史、文化、そしてそこに生きる人々の姿を感じることができるでしょう。
回答された3つの小説には鳥取砂丘が出てきますから、回答は真です。もっとも、鳥取砂丘が出てくる小説はこれらだけではなく、数多くあります。
さて、日を改めて、もう一度、同じ問いを投げたところ、同一の3つの小説が回答されました。これらの小説の中に鳥取砂丘が出てくることを明記した、しかとしたウェブ上の情報があり、検索の度に掬い取られるのでしょう。その情報とは、鳥取県立図書館の「鳥取県が登場する文学作品」リストです(サイトへ)。回答が真である場合には、bard検索の回答は再現されることが分かります。
次へ続く。
bard 検索(生成AIを利用したウェブ検索)(4)
2024 2 15 (art24-0624)
「東郷池が出てくる小説」と入力してbard検索をすると、以下の5つの小説が、タイトルと作者名、出版年、そして、簡単な紹介文付きで、出力されました。
『東郷池の鯉』 – 田中千禾夫(1980年)
『東郷池の伝説』 – 小泉八雲(1904年)
『東郷池の殺人』 – 横山秀夫(2009年)
『東郷池に生まれて』 – 津村秀介(2013年)
『東郷池の奇跡』 – 恩田陸(2017年)
いずれも、実存しない、AIが作り出した架空の小説です。しかし、作者は実存していた/いる人であり、また、タイトルが作者の小説のジャンルや作風に合っているため、実際に書かれた、実存する小説であるとの印象を抱かせます。
どうしてこうした嘘の回答が出てくるのか。本当のところは分かりませんが、事項Aと事項Bがたまたま併記された記事などから、事項AとBを結びつけているのだろうと憶測できます。実体のない偶然の併記と実体のある関連を識別して情報を収集してくれれば、こうした嘘の回答を無くすことができるのでしょうが、現時点では、そうした情報の精査はできていないようです。
そうであるならば、利用者が自ら、回答の虚実や真偽を判断せざるを得ません。これは、簡単なことではありません。よく知っている分野であれば、回答の嘘を見抜くことができるでしょうが、よく知らない分野であれば、見抜くことができません。そもそも、検索は知らない事柄を知ろうとすることですから、多くの場合、回答に紛れている虚実や真偽を判別することは至難の業です。
では、利用者はどう対応すればよいのでしょうか。
よく言われていることですが、回答の出処にあたる、出典情報を検分することです。回答に、学術論文やウィキペディアの記事のように詳しい引用文献リストや出典リストが付いていれば、回答の出処がわかり、引用文献や出典情報を検分することで回答内容を裏付けることができます。しかし、bard検索の回答には、情報の出処がわかる詳しい出典リストがほとんど付いていませんから、出典情報を検分することはできません。
回答の真偽に関してできることは、Google検索を行い回答内容を確かめていくことです。しかし、これは、大変な作業で、場合によっては、労して功なしです。そもそも、bard 検索(生成AIを利用したウェブ検索)を使うのは、手っ取り早く回答を得る為ですから、回答内容の真偽の確認に時間と労をとられるようでは、主客転倒です。
では、何か他の方法はあるのでしょうか。
次回へ続く。
bard 検索(生成AIを利用したウェブ検索)(3)
2024 2 12 (art24-0623)
「東郷池が出てくる小説」と入力してbard検索をすると、5つの小説のタイトルと作者名、出版年、そして、簡単な紹介文が出力されました。いずれの小説も、実際には存在しない架空のものなのですが、どうして、こうのような回答が出てきたのでしょうか。
回答をみて、まず気づく点があります。
「この小説は、東郷池に/を・・・」で始まる紹介文は、あたりさわりのない文章です。その為、東郷池を他の池、例えば、湖山池や宍道湖に交換しても、さらに、地名、たとえば、鳥取や松江に交換しても、通用する文章です。これは、言葉と、言葉の繋がりが類型的であるからです。これは、生成AIによる文章の特徴と言えます。
そもそも、生成AIによる文章の作成は、基底的には言葉の繋がりを確率的に決めているだけのものです。膨大な文章データをもとに、言葉Aに繋がっている言葉を解析して、高頻度で繋がっている言葉Bを選び出し、それを言葉Aに繋いでいきます。もっとも、文章の精度や汎用性を高めるために、学習モデルのチューニングや入力の改変や拡張を行っているようですが。いずれにしても、生成AIで作成された文章は、普段よく目にする言葉の繋がりを反映することになりますから、あたりさわりのない文章になります。
紹介文のなかで、唯一、恩田陸の『東郷池の奇跡』に、固有名詞 ”東日本大震災”が出てきます。
『東郷池の奇跡』 – 恩田陸(2017年)
この小説は、東郷池を舞台に、東日本大震災を題材にした小説です。震災の被害を受けた人々の、復興への歩みを温かい眼差しで描いています。
これは、生成AIによる作成文にはそぐわないものです。おそらく、これは、恩田陸をキーワードにした検索から、ひっかかった言葉を取り込んで文章を作成したのだと考えられます。
恩田陸の小説『EPITAPH東京』があります。 凡夫は読んでいないのですが、東日本大震災を経て東京五輪へ、少しずつ変貌していく「東京」を舞台にした戯曲作家のKが吸血鬼だという吉屋に出会い、東京の秘密を探る、と言った内容だそうです。
恩田陸と東日本大震災が結びつきました。東日本大震災の一語が加わることで、紹介文の内容が変貌していきますが、文章は、震災の報道でよく目にする言葉を繋いだだけの、あたりさわりのないものです。
また、恩田陸をキーワードにしたGoogle検索で、恩田 陸他5名(朝井 リョウ,あさの あつこ,伊坂 幸太郎,白河 三兎,三浦 しをん)による共作『X'mas Stories: 一年でいちばん奇跡が起きる日』がヒットしますから、東郷池に奇跡を繋いで、タイトルにしています。
さて、そもそも、東郷池と恩田陸、そして、2017年はどうやって結びついたのか。本当のところは分かりませんが、以下のような一つの可能性が考えられます。
東郷池、恩田陸、2017とキーワード入力してGoogle検索すると、湯梨浜町の広報「ゆりはま」の2018年6月号の13ページがヒットし、その中に、H29年(2017年)の図書貸し出しランキングリストに『蜂蜜と遠雷』恩田陸が、そして、下段に、東郷湖漁協組合が東郷湖のシジミを学校給食用に贈呈した記事が載っています。東郷池は東郷湖とも呼ばれていますから、このページで、東郷池―恩田陸―2017が結びつきます。また、東郷コミュニティだよりの60号に、東郷公民館の新刊入荷のお知らせとして「スキマワラシ」恩田陸とありますから、東郷池と恩田陸は結びつきます。恩田陸の小説『蜂蜜と遠雷』は2017年本屋大賞を受けていますから、東郷池ー恩田陸ー2017と結びつきます。
生成AIは、意味を理解したうえで、単語と単語をつないでいるわけではありませんから、検索でヒットした言葉を、ヒットしただけで、関連させてもおかしくありません。たまたま同一ページ上にある、あるいは、近隣の文上にある言葉が、結びつけられることがあるのでしょう。特に、ウェブ上の情報量がすくなく、ヒット数が少ない場合は、関連実体のない言葉が、関連させられることになります。
文章で回答されると、とかく、人は信用してしまいます。さらに、その文章があたりさわりのないものであればある程、抵抗なく受け入れてしまいます。生成AIが作成した文章は、まさに、そうしたものですから、注意が必要です。このあたり、bard検索(生成AIを利用したウェブ検索)の落とし穴と言えそうです。
次回へ続く。
bard 検索(生成AIを利用したウェブ検索)(2)
2024 2 8 (art24-0622)
Google 検索も、bard検索も、基本的にはウェブ上に存在する多数の情報の中から当該情報を探し出します。Google 検索は、当該情報が載っているURLを一覧リストとして表示するのに対して、bard検索は、当該情報の内容を、生成AIを活用して、要約文章として回答します。
Bard検索は、知りたい情報を手っ取り早く得ることができますから便利なツールです。しかし、いくつか気になる点があります。その一つは、知りたい情報そのものがウェブ上にない場合です。
Google検索では、入力したキーワードにヒットしなければ、URLは表示されませんから、知りたい情報がウェブ上にないのだなと判断できます。では、bard検索ではどうなるのでしょうか。
我が家から歩いて2,3分の所に東郷池があります。周囲12kmの池ですが、池畔には二つの温泉、はわい温泉と東郷温泉があります。はわい温泉は、池の西側から池に突き出た砂州上に所在しています。東郷温泉は、池の東側に位置し、山陰本線が通っています。最寄り駅は松崎駅です。
さて、東郷池が出てくる小説はあるのでしょうか。Bardで検索してみました。
「東郷池が出てくる小説」と入力してbard検索すると、以下の文章が出てきました。
『東郷池の鯉』 – 田中千禾夫(1980年)
この小説は、東郷池に棲む鯉を主人公にした童話です。鯉の目を通して、東郷池の自然や人間模様を描いています。
『東郷池の伝説』 – 小泉八雲(1904年)
この小説は、東郷池に伝わる伝説を題材にした短編小説です。東郷池の神秘的な雰囲気を味わうことができます。
『東郷池の殺人』 – 横山秀夫(2009年)
この小説は、東郷池を舞台に、殺人事件が発生するミステリーです。東郷池の美しい風景と、殺人事件の謎が織り成すスリリングな展開が楽しめます。
『東郷池に生まれて』 – 津村秀介(2013年)
この小説は、東郷池を舞台に、主人公の少年の成長を描いた小説です。東郷池の自然の中で育った少年の、心の成長を丁寧に描いています。
『東郷池の奇跡』 – 恩田陸(2017年)
この小説は、東郷池を舞台に、東日本大震災を題材にした小説です。震災の被害を受けた人々の、復興への歩みを温かい眼差しで描いています。
これらの小説は、東郷池の様々な魅力を描き出しています。東郷池に興味がある方は、ぜひこれらの小説を読んでみてください
5番目の小説、恩田陸の「東郷池の奇跡」は、その紹介文に整合性に欠ける箇所があり、おかしいなと感じます。しかし、他の4人の作家の小説はどうでしょうか。タイトルと言い、紹介文の内容と言い、もっともらしく、おかしな点はみあたりません。
で、これらの小説を読んでみようと思い、本を探します。しかし、みつかりません。それもその筈、実在しないのですから。情報のなかで虚構された架空の本ですから。
どうして、このようなことが起こるのでしょうか。続きは次回へ。
bard 検索(生成AIを利用したウェブ検索)(1)
2024 2 5 (art24-0621)
遅ればせながら、Google bard検索を試しました。これは、Google検索エンジンに、生成AIが搭載された対話型AIサービスです。現在、試験運用中です。
知りたい何かがあるとき、ウェブ検索し、ウェブ上の情報のなかから関連する情報を集めます。Google 検索では、入力したキーワードにヒットしたURLの一覧が出力されます。URLに個別にアクセスして知りたい情報をみつけます。多くの場合、みつけた情報を整理してまとめます。
一方、bard検索では、知りたいことを普段使っている文章で入力すると、知りたい情報そのものが出力されます。自分で、個々のURLにアクセスして知りたい情報を取り出し、まとめなくても、すべて、生成AIがやってくれます。
便利になったものです。
ちなみに、bard検索で、「Bard検索とGoogle検索の違い」と入力すると、以下の文章が出力されました。
Bard検索とGoogle検索は、どちらも情報検索ツールですが、いくつかの重要な違いがあります。
1.検索方法
Google検索: キーワードに基づいてウェブページを検索します。
Bard検索: 質問の意味を理解し、最も適切な回答を提供します。
2. 回答形式
Google検索: 検索結果としてウェブページが表示されます。
Bard検索: 質問に対する直接的な回答が提供されます。
3. 情報の範囲
Google検索: ウェブ上の情報に限定されます。
Bard検索: ウェブ上の情報だけでなく、Bardが学習した知識も活用されます。
4. 対話性
Google検索: 一方向的な検索です。
Bard検索: ユーザーとの対話を通じて、より適切な回答を提供することができます。
5. 機能
Google検索: 画像検索、音声検索、ニュース検索など、様々な機能があります。
Bard検索: まだ開発中ですが、将来的には様々な機能が追加される予定です。
6. 利用シーン
Google検索: 情報収集に適しています。
Bard検索: 質問に対する答えを知りたいとき、新しい発見をしたいときなどに適しています。
7. 未来
Google検索: 検索エンジンの定番として、今後も進化し続けるでしょう。
Bard検索: 情報検索の新しい方法として、大きな可能性を秘めています。
まとめ
Bard検索とGoogle検索は、それぞれ異なる強みを持つ情報検索ツールです。目的に合わせて使い分けることで、より効率的に情報収集を行うことができます。
いやはや、要領を得た名答ですな。
どこまで回答できるものか、もうすこし試してみました。続きは次回へ。
眼鏡(3)
2024 2 1 (art24-0620)
メガネのレンズを作り直しました。3度目になります。
1月中旬、老眼対応の遠近両用レンズを作りました (art24-0615)。2作目のレンズで、近くの文字もよく見えるようになったので、しばらく使っていましたが、本を読むとき違和感があり馴染めませんでした。
老眼対応のレンズが中央下部の狭い範囲に埋め込まれています。この部分のレンズが、凡夫の目に合っていないようでした。左目は、この部分のレンズを通して本の文字がはっきり見えます。しかし、右目はぼやけて見えます。面白いことに、右目のぼやけは、メガネを反時計周りに5度ほど傾けると、かなり修正されました。
レンズの中央部で本の文字を見ると両目ともぼやけて見えます。中央部は老眼に対応していませんからあたりまえです。このぼやけは個別の老眼メガネを重ねると解消され、両目とも文字がはっきり見えます。この状態が、レンズの中央下部の老眼対応部で構築できていればよいのですが、狭い領域なので難しいのでしょうか。さらに、凡夫の右目には近視と乱視が入っていますから、状況はより複雑になります。
今回は、メガネ店(眼鏡市場)の店長が対応してくれました。再度、視力検査を行い、もう一度レンズを作ることになりました。さらに、アイポイントを測定し、レンズの光学中心の調整も行うそうです。
一昨日、3作目のレンズに交換しました。近くの文字を見る時、2作目のレンズのような右目のぼやけがほとんど無くなり、両目で文字を見ている感覚があります。
なお、有り難いことに、今回のレンズの作り直しも無償でした。4度目はどうなるかわかりません。まあ、真打が登場し対応しましたから、眼鏡 (4) へと続かないでしょう。定の目はやっぱり3度目としたいものです。
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