鳥取城跡
2020 09 28 (art20-0276)
先週の4連休、県外ナンバーの車を多数見かけました。鳥取砂丘の人出は前年以上であったとマスメディアは報じています。新コロ感染はまだまだ続きそうですから、感染防止対策を疎かにしないようにしたいものです。
連休3日目の21日、鳥取へ行きました。鳥取城跡に ”丸い石垣” があると家内が言いますから、どんなものか、ドライブがてら観てきました。
国道9号線を海岸沿いに東へ走りました。好天のもと、海の青さが際立ち、波が、所々、海岸に打ち寄せています。波の上にはサーファーの姿があります。彼らは道の膨らみに車を停めて海岸へ下りて行くようで、ウエットスースを身に纏い、車の周辺をうろうろしています。サーフィンに興ずる人は若者と思っていましたが、どうしてどうして、中年の人も多く見かけます。一度サーフィンの魅力に取りつかれると抜け出せなくなると聞いていますが、そうなのでしょう。
鳥取城は、久松山(263m)の山頂にある山城(山上の丸)と山麓にある城郭(山下の丸)から成り立っています。山城は戦国時代因幡の守護山名氏によって築城された。山麓の城郭は、豊臣秀吉の家来の宮部氏(5, 6万石)によって造られ、関ケ原の合戦後、因幡伯耆の領主となった池田氏(32万石)によって拡張整備された。明治に入り治安が安定すると、建物が撤去された。昭和18年の鳥取大地震によって、城跡は崩壊した。石垣の修理や建物の復元整備をおこなっている。(鳥取市刊の 「鳥取城跡の冊子」より)
県立博物館の駐車場に車を止めて、城跡見学に向かいました。駐車場の向かいの仁風閣を右手にみて少し進むと西坂下御門(復元)です。門をくぐり、石垣沿いに登ると二ノ丸にでました。建造物はなく平地に樹木が植わっています。二ノ丸の東の山側に鎮座する稲荷神社の鳥居をくぐり神社横の道を登って天球丸へ向かいました。天球丸にも、一つの建物もなく、平地です。眼下に県立鳥取西高等学校の校舎が見えます。そこは、かつて三ノ丸だったそうです。
ところで、下調べもせず、お城見学にきましたので、目的の "丸い石垣" がどこにあるのかわかりません。天球丸の名前から、これの石垣が丸くなっているのかと思い、天球丸の石垣を上から覗きながら淵を歩いてみました。普通の石垣のように見えたのですが、石垣の一部が球面状に膨らんでいます。どうやら、これが、家内の言う "丸い石垣" のようです。表示板に巻石垣とありました。後で知ったのですが、これは、2011年に修復・復元されたものです。江戸時代後期(1807頃)、背後の石垣が孕み出て来たので、崩壊防止のため築かれた球面石垣だそうです。こうした巻石垣は港や河川の工事に用いられているそうですが、城郭の補強に用いられるのはきわめて珍しいとか。なお、天球丸は曲輪の名称で、池田氏の姉、天球院が居住していたことに由来するとのこと。"丸い石垣" とは関係なしでした。
これで帰るつもりでしたが、家内が山城跡を見てみようと言いますから、久松山に登ることになりました。高い山ではないからと、軽く考えていましたが、実際登ってみると、石段が崩れている箇所もあったりして、かなりきつい行程となりました。何度か休憩をとりながらも足を動かし、なんとか山頂に立つことができました。城の建造物はなく石垣が残っているだけです。しかし、ここからの眺めはすばらしく、登ったかいがありました。千代川流域に広がる鳥取市が一望できました。
蒜山ハーブガーデン(続き)
2020 09 24 (art20-0275)
生食野菜の美味しさを左右する因子は、もっぱら、栽培環境と栽培方法です。しかし、蕎麦は加工食品ですから、美味しさを左右する因子はソバの栽培の良し悪しだけではありません。蕎麦が口に入るまでに、畑でのソバ栽培に始まり幾つかの工程を経ます。栽培―>収穫・保存―>製粉―>製麺―>調理(茹でて洗う)ー>食事。どの工程でも、多かれ少なかれ、旨み成分や風味が失われます。そして、時には、何の味もしない蕎麦を食べることになります。
ソバは双子葉植物で、種子の中には大きな子葉(胚芽)があります。子葉は、蕎麦の旨さや風味を醸し出す脂質や、つなぎとして重要なたんぱく質を多く含みます。子葉部分は硬さや粘り気が他の部分と異なるため、玄そば(ソバの実/種子)全体をうまく製粉することは難しく、また、製粉後のふるい作業で子葉の脂質や蛋白質が失われると言われています。旨みを保ったまま製粉することはなかな難しいようです。製粉時の熱も旨みを損なう原因になります。石臼挽きによる製粉は熱が出にくいので、旨い蕎麦粉ができると聞いています。また、蕎麦作りの各工程で、失われるのは旨みだけでなく香りもそうです。蕎麦の香りは、ノナナール、ヘキサナールなどの多数の揮発性成分と言われていますが、細かい粉にされ、空気に触れると、揮発したり酸化されて、香りが失われると言われています。
蕎麦の「三たて」(挽きたて、打ちたて、茹でたて)は、美味しい蕎麦を食べる条件と言われています。理にかなっています。「三たて」に ”採れたて” を加えた「四たて」が、よりよい条件と言えそうです。しかし、「四たて」蕎麦にありつくことは、なかなか難しそうです。
それはさておき、話はドライブです。“そばの館”を出て、車を南方へ3km走らせると、蒜山ハーブガーデン・ハービルに到着です。駐車場に車を入れ、入園料の300円を払ってガーデンに入りました。
予想通り、ラベンダーの花は終わっていました。青空のもと、小山の南斜面に広がるラベンダー畑の斜面を上方へ向かってぶらぶら歩きました。高所に立つと、北の方角に蒜山の3つの稜線が見えます。左から上蒜山(1,202m)、中蒜山(1,123m)、下蒜山(1,100m)の三座です。高さがてごろなのか、多くの登山客が三座の縦走を楽しんでいるそうです。その三座の裾野に蒜山高原が広がっています。目を凝らすと、ヒルゼン高原センターの遊園施設の観覧車が見えます。
2階建ての母屋(香りの館)の東隣りにちょとした庭(ハーブガーデン)があります。多種類の植物が所狭しと植わっています。ハーブも幾種かあるのでしょうが、凡夫には、どれがハーブなのか識別できません。ぶらぶら一巡しましたが、特に目を引くものはありません。やはり、ここは、ラベンダーの開花期に訪れるのがベストのようです。一昨年(2018)の7月上旬に、ラベンダー畑で、家内がラベンダーの花を摘み取っていた姿が思い出されます。
帰路、ひるぜんジャージーランドに寄り、牛を見ました。駐車場は第1、そして第2第3ともほぼ満杯でした。関西だけでなく関東のプレートをつけた車も多数見うけられました。天気に恵まれそうな4連休、あわただしく多くの人が移動しそうです。そんな、人々の慌ただしさを尻目に、広い草原で、牛は、陽の光を浴びて、のんびりと気持ちよさそうにしていました。
蒜山ハーブガーデン
2020 09 21 (art20-0274)
連休初日の19日、好天に誘われて、家内と蒜山高原へドライブしました。目的地は蒜山ハーブガーデンです。一昨年の夏に、一度、訪ねています。その時は、無数のラベンダーの花が小山の斜面一杯に咲き誇っていました。家内はラベンダーを摘み取り持ち帰りました。その場所が気に入ったようで、今回のドライブの目的地の一つに挙がりました。時期的にラベンダーの花は期待できないのですが、とりあえず、行ってみることにしました。
蒜山ハーブガーデンは、蒜山高原の西南に位置しています。車は国道313号線を南下し岡山県に入り、長田町のT字路の交差点を右折し、国道482号線を西に進みました。車道の左面は田圃が続きます。田圃には、稲穂がたわわに実り、遠目には黄色い敷物のようです。所々、コンバインが入り、収穫作業を行っています。走行を続けると、黄色い敷物に混じって、白い敷物がみられます。何かと思えば、蕎麦の花です。田圃一面に白い花が咲き揃っています。西へ進むにつれて、蕎麦の田圃が多くなってきました。この辺りは蕎麦処のようです。昼食は蕎麦にしようと決めると、道沿いの看板をに目を向けることになりました。美味しい蕎麦にありつけるとの期待感が膨らみます。
そば屋 “悠悠” の前は人だかりです。駐車場らしきスペースには自動車に混じって多数のオートバイがみえます。若者の姿が多く、ここはパスすることにして、482号線の西への走行を続けました。道の駅 ”風の家/野菜市” の向かい側の “そばの館” の看板が目にとまり、その駐車場に入りました。店内はぼぼ満員でしたが、幸い、相席用の長テーブルに、家内と並んで座ることができました。エビ天蕎麦を二人前注文し、待つこと15分、蕎麦にありつけました。蕎麦を一口食べて、?と。二口食べて、?と。蕎麦の味が全くありません。何度噛んでも、旨みを感じません、否、なにも感じません。味覚がおかしくなったのかと思い、家内に尋ねると、家内も同じ感想でした。味覚の問題ではなく、蕎麦の問題です。どうしたのでしょうか。蕎麦処の蕎麦が、これでは。天ぷらが旨かったので、よけい気になります。
ふと、ある出来事が思い出されました。味のない野菜のことです。大きさといい、形といい、色といい、見かけは美味しそうなのですが、食べてみると全く味がしないのです。トマトでも、ナスでも、ピーマンでも。スーパーで購入した野菜です。自家製野菜にはそんなことはありません。どれも美味しいとは言えませんが、まずいならまずいなりに、何らかの味があります。酸っぱいやら、苦いやら、青臭いやら、の味があります。
果物には、美味しさがどうのこうのとよく話題になりますが、野菜の美味しさはどうなんでしょうか。市場の野菜は、色、形、大きさ、つやなどの外観と新鮮さが評価されているようですが、美味しさ(味)はどうなっているのでしょうか。評価対象になっているのでしょうか。
ところで、野菜の美味しさとは何でしょうか。トマトらしいトマトの、ナスらしいナスの、ピーマンらしいピーマンの美味しさがあります。しかし、その “らしさ” とは何でしょう。どのように表現、あるいは、数値化できるのでしょうか。
車は、ハーブガーデンへの途中です。続きは、次回へ。
踏み台
2020 09 17 (art20-0273)
昨年末に煩った肺血栓塞栓症、薬が効いたようで随分回復しました。元の体には戻らないものと聞いていますが、日常生活には支障がなさそうです。歳をとると、体のあちこちにガタがくるものです。その一片とみなせば、それだけのことです。
日常の作業の一つは畑作業です。今夏の野菜栽培、なんとかこなすことができました。キュウリは早くから病気になり今一でしたが、トマト、ナス、ピーマンは目標の100個以上収穫できました (art20-269)。ミニトマトは約900個でした。ピーマンとナス、そして、パプリカの収穫は、まだ、続いています。
もう一つの日常作業の木工も、小型の作品をいくつか手がけました。引き出し付き小箱(art20-225)、ミシン糸の収納小箱 (art20-237)、勝手口の網戸 (art20-257)です。
気温が下がり、随分過ごしやすくなってきましたので、木工作業に少し本腰をいれようと思います。”ものづくり” は楽しいことです。野菜作りも "ものづくり" ですが、これは生き物を相手にしていますから、思い通りにいかないことが多々あります。木工の方は、自分の技量次第で、思い通りの ”もの” を思い通りに作ることができます。形状の構想を練り、設計図を描き、木材を加工して ”もの” を作ります。
小物は、設計図を描かずに作ることができますが、パーツの調整や組み立てに時間が無駄にかかるかかります。やはり、小物でも、設計図を描いて作製した方が、早くて楽です。設計図の描画には、無料の2次元汎用 CADソフト、"Jw-cad"、を用いています。このところ使ていなかったので、ペンの設定方法を失念していましたが、便利なもので、ネット検索すると、多数の解説ページがでてきます。それを参照しながら、図面を引いていると、少しずつ記憶が戻ります。
今回は、踏み台の作製です。木工作業場で使用します。電動道具のコードや吸塵ホースやらを天井からぶら下げています。時折下げ位置を変更しますが、その際、天井に手が届くように足を載せる踏み台が欲しくなりました。簡単なもので十分です。
【作製】
材料は、SPF材の 1x4(ワンバイフォー、幅89mm、厚さ1.9mm、長さ6ft /1820mm) の板材です。2.5 枚使用します。SPF材は、加工が容易ですから、DIYによく使われています。
角度を付けて板材を切断するとき、スライド丸鋸は大変重宝します。凡夫が木工用電動工具を調達していた頃、植木屋のYさんからアドバイスを受けました。スライド丸鋸を早めに手に入れることを。Yさんは、本業の傍ら、木工を楽しんでいるとのことで電動工具を一通り揃えています。Yさんのアドバイスに従い、スライド丸鋸を購入しました。以来、本当に頻繁に使っています。
結合には、木工ボンドを塗って、コーススレッドで固定しました。コーススレッドは、木ねじの一種で、ネジ山とネジ山の間隔が広い並目ねじで、木材の結合時の締付が強いという特徴を持ちます。手間のかからない結合ですから、組み立て作業は1時間程でした。スライド丸鋸を用いたパーツの切り出し作業に1時間程かかりましたから、作製の所要時間は2時間です。
外壁の修理
2020 09 14 (art20-0272)
延び延びになっていた漆喰壁の修理を完了させました。壁は北側の広い道路に面しています。6月に、古い漆喰の剥がれを排除し、下塗り漆喰を塗っただけで、仕上げ漆喰を塗りませんでした。雑な下塗りだけだと見てくれは悪いのですが、それでも雨水の侵入を防げますので、仕上げ塗装はいつか手掛けようと思いながら、早や、3ヵ月経ってしまいました。道の傍だけに目につきやすいですが、家の随所がガタガタですから、その壁が特に際立って目を引くことはなかったと思います。
畑の作業が一段落し、夏の暑さも終わりましたので、壁の仕上げの塗装作業を行いました。日本プラスター社の漆喰 “うまくヌレール” の容器から適量取り出し、適度にこねて柔らかくした後、壁に塗ります。漆喰の調整は簡単ですが、壁塗りには職人技が必要です。凡夫の技量不足で均一に塗ることができず、加えて、漆喰をケチったこともあり、剥がれた漆喰の境目が段差となり浮き出ています。ただ、下塗り塗装の凸凹より、すこしは滑らかになったものと自分を納得させ、完了としました。
プルーン
2020 09 10 (art20-0271)
今年は、プルーンが成り年?でした。品種は「シュガープルーン」。サイズは小型ですが、糖度は十分あります。これまで、一部の枝に数個の花が付き結実しましたが、落果が続き、収穫期まで枝に留まる果実はほとんどありませんでした。ところが、今年は、木全体に花が付き、沢山結実しました(art20-0239)。幼果の間引き作業が必要になりました。生理落果もほとんどなく、沢山の果実が成長を続けました。ただ、熟期に近づくと、毎日十数個の果実が落ちました。落ちた果実は果皮に穴があり、密があふれ出ています。虫が侵入したようです。なかには、鳥がつついた痕があります。相当数落果しましたが、着果数が多かったので沢山の果実が残りました。数回の収穫で、およそ500個の果実が採れました。半分は、近くに住む姉が持ち帰りました。
果実は生で食べても悪くないのですが、多数のプルーンを前にすると、食べる気が失せてきます。生食はほどほどにして、ジャムにすることになり、家内がジャムを作っては小瓶につめて、廊下のストック用冷蔵庫に運んでいます。
一方、プルーンと言えば、ドライプルーンを連想します。挑戦することにしました。ネットで調べると、作り方が極々簡単でしたから、興味本位で凡夫がやってみました。
【作り方】
1.プルーンのへたをとり、水で洗い、ペーパータオル等で水気をとる。
2.炊飯器にプルーン (1kg) と砂糖 (250g) を入れ、10時間保温する。
3.プルーンを取り出し、2-3日、天日干し(雨天時は冷蔵庫にて保管)。
(好みによるオプション:天日干しの2日後に種を押し出す)
手間が掛からず、あきれるほど簡単に作れました。その割には、旨い旨いと、家内と自家栽培の自家製ドライプルーンをぱくつきました。種は、前もって、取り出しておいたほうがよさそうです。
本「疫病」
2020 09 07 (art20-0270)
台風10号が対馬(島)付近を通過中で、時折風が強くなります(現時刻 8:10)。先ほど日課の畑の見回りを行い、野菜や果樹の様子を見てきました。かなり風に煽られていましたが、倒伏や枝が折れることはなさそうです。幸い南風なので、隣接する民家が盾となって防いでくれます。予報では、この南風、昼過ぎにはもうすこし強く (10-12m/s) なるそうです。
さて、本題です。安倍総理が、持病の潰瘍性大腸炎の調子が悪いようで、辞意を表明しました。7年8ヶ月に及ぶ歴代最長政権が終わります。新総理の選出は17日だそうです。菅官房長官、安倍政権の後継者と自他ともに認められている人、が最有力候補のようです。
新型コロナウイルス感染症の第2波が一段落し、やれやれと言ったところです。ところで第1波の時、政府の打ち出す感染症対策が、何かズレていると感じました。現場や人心から乖離した施策だなーと。どうなっているのかと舞台裏が気になっていました。そんな中、門田隆将著の「疫病」(産経新聞、2020年)を読む機会がありました。門田氏はジャーナリストだそうです。新型コロナウイルス感染症という “疫病” を巡るすべての出来事の舞台裏を覗かせてくれました。さもありなんと納得できそうな箇所が至る所にありました。緊急事態を前にして、緊急の意味を解さず、通常の行動規範に従って対処しようとする人、不確かな情報に振り回されて判断・決定を行う人、なんと多いことか。そうしたやり方の不毛性を理解せず、判断の誤りに気付くことなく、ただただ、愚策の山を築いていく。この国は大丈夫でしょうかな。新型コロナウイルスの感染力がそれほど強くなかったことは、本当に、幸いでした。
この本「疫病」は、一応、ノンフィクションに分類されているようです。ノンフィクションは、過去の出来事(事実)に基づいて創作した作品のことです。ノンフィクションと言えども創作ですから、著者の立ち位置や書き方によって、読者の受ける印象が変わります。特に、ある事件にかかわっている多数の事柄のなかからどの事柄を選び、どのように関連させるかによって、その事実のもつ意味や解釈が変わります。そうした関連事項の取捨選択が著者に委ねられていることを忘れてはなりません。都合のよいものを選び取ることは人の常ですから。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2, なお疾病名はCOVID-19)は、2019年11月に中国の武漢で発生が確認され、12月31日に最初にWHOに報告されたそうです(ウィキペディアより)。武漢から新型コロナウイルス感染症が広がったのですが、このウイルスの宿主動物が武漢に棲息していないことから、ウイルスは外部から武漢へ持ち込まれたとして、その経路がアレコレ話題になりました。このあたりは、本の「武漢病毒研究所」なる章に詳しく書かれています。
更に、この章では、ウイルスの人為的操作の可能性にも言及し、ノーベル生理学者のLuc Montagnier 博士の発言(4月18日付)を取り上げています。いわく、[新型コロナウイルスは自然なルートで発生したものではない。ウイルスが何の目的で作られたものかは知らないが、これは武漢の研究室で人口的に操作されたものだ」と。この発言の根拠は、SARS-CoV-2の配列のなかに、HIVの配列が存在すると結論付けた Jean-clude Perez博士との共著論文(COVID-19, SARS and Bats Coronaviruses GenomesUnexpected Exogeneous RNA Sequences)であると。そうか、SARS-CoV-2は、自然に発生したウイルスではなく、武漢の研究所で人為的に作られたウイルスだったのかと、読者は思い込むでしょう。話を劇的にすれば読者は喜びます。しかし、この種の本では、周辺の状況も合わせて載せるべきだと思います。
Montagnier博士の発言の根拠となった論文の内容、特に解析方法、そして結果の解釈には、多数の研究者から疑問視する声が上がったようです。そもそも、3月17日付けの Nature Medicineで、SARS-CoV-2と関連ウイルスのゲノム配列を比較解析した結果、このウイルスが実験室で作成されたり、その他の工学的手段で作成された証拠は存在せず、自然起源であることが報告されています。
この頃は、ちょっとしたデータをWeb上に公開する手段がすすんでいるようで、Montagnier博士の発言の翌日の19日、Philippe Lacoude の European Scientistに Philippe Lacoude によるちょっとした配列データ解析が載りました。これは、 Montagnier博士の発言の根拠となる配列解析を自分でやった一例です。解析方法は、SARS-CoV-2とHIVの配列をNCBIのデータベースから取り出して、BLASTを用いて配列間の相同性を解析するというものです。NCBIの配列データは公開されています。また、BLASTはNIHで開発されたもので、誰でも使用できます。ここで用いられた方法は、分子生物学をちょっとかじった人ならば、誰にでもできる程度のものです。解析の結論は、”The SARS-CoV-2 is likely a product of nature, born out of Darwinian selection.” ということでした。
畑の様子(9月上、2020年)
2020 09 03 (art20-0269)
【イチジク】
果実が赤紫に変色し柔らかくなると、鳥が何処からかやって来て嘴でつつきます(art20-0264)。鳥害を避けるためネットを張りました。ネットのサイズが合わず、木の上方だけを覆うことになり、下部には、おおきな隙間があります。それでも、ネットがあることを警戒するのか、鳥による被害を回避できました。
家内はせっせと果実を収穫しては持ち帰り、イチジクジャムを作っています。できあがりを小型ビンに詰めて、ストック用冷蔵庫に納めています。随分沢山のビンが棚に並びました。
【スイカ】
畑で作った3番目のスイカは種無しスイカでした(art20-267)。種無しスイカは甘くないものと思っていますから、あまり期待していませんでした。ところが、食べてみてびっくり、十分甘味があります。種有りスイカにありがちな、中心部だけが甘い、といったこともなく、全体に、白い皮の近くまで、甘味がありました。今年最後のスイカは、サイズは今一でしたが、旨さの方は光一でした。
種無しスイカは3倍体で、染色体が33本あります。種の有る普通のスイカは2倍体で22本です。種有りスイカの場合、花粉の精細胞や胚珠の卵細胞は染色体数が半減した1倍体(ゲノムと呼び、生存に必要な1組の染色体)で、11本の染色体を持ちます。生細胞と卵細胞が受精して融合すると、11+11で、22本の染色体となり、もとの2倍体に戻ります。これからできる種子は2倍体です。
一方、3倍体の場合、生細胞や卵細胞は、11+α の染色体数になります。α は染色体数 0-11を表します。これは、染色体数が半減する細胞分裂(減数分裂)時に、染色体が無作為に分配(不均等分配)されるからです。ゲノム単位で、染色体数が半減や倍化した1、2、3、4倍体等は生存できますが、ここに幾つか(α 数)の染色体が加わったり減ったりすると、生存できなくなります。3倍体から形成される精細胞や卵細胞は、ゲノム単位の染色体構成から逸脱するため機能不全になります。
種無しスイカの3倍体でも、雄花や雌花は普通に形成され、開花します。しかし、雄花の花粉の精細胞と雌花の胚珠の卵細胞は機能不全です。交配には、種有りスイカの雄花の花粉を使います。受粉花粉は正常ですが、卵細胞が機能不全ですから、受精不能、あるいは、受精しても種子が形成されません。種ができないスイカ、これが、種無しスイカです。
野菜の収穫
9月に入ると、幾分、朝夕、過ごしやすくなりました。台風9号は九州の西側を北上してくれました。しかし、新たに発生した台風10号の進路が気になります。防風対策必要になりそうです。
トマト:ほぼ終了です。残りの果実は10個ほど。
ミニトマト:終了しました。
キュウリ:結局、病気からの回復、できずじまいでした。
ナス:収穫が一段落したところで、秋ナスを収穫するため、枝を落とし根を切りました。
ピーマンとパプリカ:収穫、しばらく続きそうです。
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